胸腺癌の臨床病理学的検討
胸腺癌3例の臨床病理学的検討を行った.症例1は63歳男性で主訴は慶声, 咳嗽, 軽度嚥下障害.腫瘍は右上縦隔で気管, 大動脈, 食道への浸潤が疑われた.手術は気管への浸潤が高度で食道壁へも波及していたため姑息的切除で終わった.組織型は胸腺扁平上皮癌であった.症例2は60歳男性で主訴は右鎖骨上腫瘤, 右上肢痛, しびれ感, 腫瘍は右上縦隔から頸部にかけて存在した.手術は腫瘍の浸潤範囲が上縦隔を主体に気管, 大動脈, 肺への浸潤が高度のため姑息的切除に留まった.組織型は胸腺淡明細胞癌であった.症例3は44歳男性で特別な主訴はなかった.腫瘍は気管分岐部前方, 上大静脈の裏側に局在し境界明瞭であった....
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Published in | 日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 7; no. 6; pp. 689 - 698 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
1993
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Subjects | |
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ISSN | 0919-0945 1881-4158 |
DOI | 10.2995/jacsurg.7.689 |
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Summary: | 胸腺癌3例の臨床病理学的検討を行った.症例1は63歳男性で主訴は慶声, 咳嗽, 軽度嚥下障害.腫瘍は右上縦隔で気管, 大動脈, 食道への浸潤が疑われた.手術は気管への浸潤が高度で食道壁へも波及していたため姑息的切除で終わった.組織型は胸腺扁平上皮癌であった.症例2は60歳男性で主訴は右鎖骨上腫瘤, 右上肢痛, しびれ感, 腫瘍は右上縦隔から頸部にかけて存在した.手術は腫瘍の浸潤範囲が上縦隔を主体に気管, 大動脈, 肺への浸潤が高度のため姑息的切除に留まった.組織型は胸腺淡明細胞癌であった.症例3は44歳男性で特別な主訴はなかった.腫瘍は気管分岐部前方, 上大静脈の裏側に局在し境界明瞭であった.手術は腫瘍摘出を行った.組織型は胸腺未分化癌であった.文献的に胸腺癌の半数以上は周辺臓器への高度浸潤例で組織学的にも多種多彩であり, 胸腺癌の診断, 治療にあたり難渋する例が多い.今後, 胸腺癌に対する診断, 治療の見解統一に向い充分な検討が望まれる. |
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ISSN: | 0919-0945 1881-4158 |
DOI: | 10.2995/jacsurg.7.689 |