精神疾患患者に対する肝切除術13例の検討

精神疾患合併の有無による肝切除術の周術期成績への影響を検討した. 1996年4月から2003年7月までの間に当科で施行された72例82回の肝切除術症例を対象とし,これらの精神疾患合併群11例13回と精神疾患非合併群61例69回に分け周術期成績(術式,手術時間,出血量,輸血,術後合併症,術後入院期間)を比較検討した.両群において年齢,性,肝機能,術式などの背景因子に有意差はなかった.術後の治療抵抗行動や身体抑制は精神疾患合併群に有意に多かったものの,術後身体的合併症の頻度や術後入院期間では有意差を認めなかった.精神疾患合併患者における肝切除は非合併患者と同等の安全性を有し,精神疾患の併存により肝...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 4; pp. 891 - 895
Main Authors 飯塚, 一郎, 渡邊, 稔, 青柳, 信嘉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2004
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.65.891

Cover

More Information
Summary:精神疾患合併の有無による肝切除術の周術期成績への影響を検討した. 1996年4月から2003年7月までの間に当科で施行された72例82回の肝切除術症例を対象とし,これらの精神疾患合併群11例13回と精神疾患非合併群61例69回に分け周術期成績(術式,手術時間,出血量,輸血,術後合併症,術後入院期間)を比較検討した.両群において年齢,性,肝機能,術式などの背景因子に有意差はなかった.術後の治療抵抗行動や身体抑制は精神疾患合併群に有意に多かったものの,術後身体的合併症の頻度や術後入院期間では有意差を認めなかった.精神疾患合併患者における肝切除は非合併患者と同等の安全性を有し,精神疾患の併存により肝切除術のリスクが高まることはないと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.891