林業大学校の学生に対する質問紙調査から見えてきた学生の傾向と各校の特徴

本稿では,静岡県,長野県,京都府,島根県の林業大学校を対象に2018年度から2022年度まで実施した学生調査の結果を報告する。学生の属性について,4校全体の傾向と各校の特徴を明らかにするとともに,今後の林業大学校の在り方を考察した。4校全体では,学生の9割が男性で,主に20代が学んでいた。保護者の林業従事や実家の山林所有は限られていた。学生は,普通科系の高校を卒業し,家族や教員等の紹介で林業大学校のことを知っていた。各校では,それぞれの特徴が見られた。静岡は,20代や県内出身者が学び,教員の紹介で林業大学校のことを知っていた。長野は,女性や県外出身者の割合が高かった。京都は,少数ながら40代や...

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Published in日本森林学会誌 Vol. 106; no. 8; pp. 233 - 244
Main Author 小川, 高広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本森林学会 28.12.2024
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ISSN1349-8509
1882-398X
DOI10.4005/jjfs.106.233

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Summary:本稿では,静岡県,長野県,京都府,島根県の林業大学校を対象に2018年度から2022年度まで実施した学生調査の結果を報告する。学生の属性について,4校全体の傾向と各校の特徴を明らかにするとともに,今後の林業大学校の在り方を考察した。4校全体では,学生の9割が男性で,主に20代が学んでいた。保護者の林業従事や実家の山林所有は限られていた。学生は,普通科系の高校を卒業し,家族や教員等の紹介で林業大学校のことを知っていた。各校では,それぞれの特徴が見られた。静岡は,20代や県内出身者が学び,教員の紹介で林業大学校のことを知っていた。長野は,女性や県外出身者の割合が高かった。京都は,少数ながら40代や50代も見られた。府外出身者や社会人経験者の割合が高く,インターネットで林業大学校のことを知っていた。島根は,男性や県内出身者の割合が高く,全員が高校卒であった。以上のように,4校に共通した傾向とともに各校の特徴が見られた。これらを踏まえ,林業大学校は学生の傾向や特徴に合わせた学生募集および教育活動を実施することが重要であるとともに,林業の包括的な人材育成拠点として進化していくことが期待される
ISSN:1349-8509
1882-398X
DOI:10.4005/jjfs.106.233