くん蒸処理丸太内で生き残ったマツノマダラカミキリ成虫の脱出時期

マツノマダラカミキリの幼虫駆除のために行う伐倒くん蒸処理において,被覆内でメチルイソチオシアネートガス濃度が低下した場合に処理丸太内で幼虫が生存し成虫として脱出する例を確認したので,その脱出時期について報告した。成虫脱出時期は無処理丸太で6月17日~7月11日,くん蒸処理丸太では6月20日~7月17日であったが,後者では脱出ピークの出現が遅く,累積脱出率50%到達日で比較するとくん蒸処理丸太では無処理より18日遅かった。くん蒸処理丸太で生き残り脱出した個体は脱出時期が遅れるため個体群全体としての成虫活動期間の長期化をもたらし,晩夏に発生する衰弱・枯死木を利用して繁殖できることから,マツ材線虫病...

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Published in日本森林学会誌 Vol. 107; no. 7; pp. 156 - 159
Main Authors 江崎 功二郎, 中村 克典, 前原 紀敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本森林学会 20.07.2025
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ISSN1349-8509
1882-398X
DOI10.4005/jjfs.107.156

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Summary:マツノマダラカミキリの幼虫駆除のために行う伐倒くん蒸処理において,被覆内でメチルイソチオシアネートガス濃度が低下した場合に処理丸太内で幼虫が生存し成虫として脱出する例を確認したので,その脱出時期について報告した。成虫脱出時期は無処理丸太で6月17日~7月11日,くん蒸処理丸太では6月20日~7月17日であったが,後者では脱出ピークの出現が遅く,累積脱出率50%到達日で比較するとくん蒸処理丸太では無処理より18日遅かった。くん蒸処理丸太で生き残り脱出した個体は脱出時期が遅れるため個体群全体としての成虫活動期間の長期化をもたらし,晩夏に発生する衰弱・枯死木を利用して繁殖できることから,マツ材線虫病のさらなる拡大に寄与する可能性がある。
ISSN:1349-8509
1882-398X
DOI:10.4005/jjfs.107.156