カラマツおよびグイマツ雑種F1でのならたけ病被害に与える局所地形の影響評価
北海道の代表造林樹種であるカラマツやグイマツ雑種F1(グイマツ×カラマツ,以下F1)の重要病害としてならたけ病がある。ならたけ病の影響評価は苗木生産量の少ないF1の造林のためにも重要である。ならたけ病の被害は樹種間差や個体の衰弱程度も関わるとされる。特に,カラマツとF1では土壌水分などへの応答に違いがあるため,ならたけ病の発生しやすい局所地形が異なることも想定される。そこで,両樹種の混植試験地を利用して局所地形を考慮したならたけ病被害率を比較した。調査は2021~2023年にカラマツとF1合計1,318個体を対象に,各個体のならたけ病被害状況と局所地形を計測した。6年生までのならたけ病被害率は...
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Published in | 日本森林学会誌 Vol. 107; no. 8; pp. 169 - 178 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本森林学会
20.08.2025
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Subjects | |
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ISSN | 1349-8509 1882-398X |
DOI | 10.4005/jjfs.107.169 |
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Summary: | 北海道の代表造林樹種であるカラマツやグイマツ雑種F1(グイマツ×カラマツ,以下F1)の重要病害としてならたけ病がある。ならたけ病の影響評価は苗木生産量の少ないF1の造林のためにも重要である。ならたけ病の被害は樹種間差や個体の衰弱程度も関わるとされる。特に,カラマツとF1では土壌水分などへの応答に違いがあるため,ならたけ病の発生しやすい局所地形が異なることも想定される。そこで,両樹種の混植試験地を利用して局所地形を考慮したならたけ病被害率を比較した。調査は2021~2023年にカラマツとF1合計1,318個体を対象に,各個体のならたけ病被害状況と局所地形を計測した。6年生までのならたけ病被害率はカラマツの8.3%に対しF1は22.3%と有意に高く,新規被害木は過去の被害木の周囲で発生していた。被害率と局所地形の関係は樹種間で異なる傾向が示され,カラマツは湿潤地形で,F1は乾燥地形で被害率が高くなると推定された。林分全体でのならたけ病感受性はF1で高いものの,湿潤な環境ではカラマツの被害率が高くなる結果となり,今後のカラマツ類林分のよりよい管理に向けて局所地形を考慮する重要性が示された。 |
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ISSN: | 1349-8509 1882-398X |
DOI: | 10.4005/jjfs.107.169 |