肝化学発がん過程において発現変化するヒストン修飾因子と毒性発現

「はじめに」がんによる死亡率は年々増加しており, 悪性新生物は1981年にわが国における死亡原因の第1位になり, 現在では約3人に1人ががんで亡くなっている. これまでに多くのがん研究が基礎, 臨床面からなされ, がん克服に貢献してきた. そして, 発がん機構解明, 発がん防御機構解明, がん化細胞排除機構解明などは, がん遺伝子, がん抑制遺伝子などの発見やその機能解明につながった. そして, その成果は「がんは遺伝子の異常によって起きる病気である」という概念を導いている. 真核細胞の生命機能維持の基礎を担う最も重要な因子の1つである核内DNAはクロマチンに存在する. クロマチンはピストンH...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 127; no. 3; pp. 469 - 479
Main Author 長田, 茂宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 2007
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.127.469

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Summary:「はじめに」がんによる死亡率は年々増加しており, 悪性新生物は1981年にわが国における死亡原因の第1位になり, 現在では約3人に1人ががんで亡くなっている. これまでに多くのがん研究が基礎, 臨床面からなされ, がん克服に貢献してきた. そして, 発がん機構解明, 発がん防御機構解明, がん化細胞排除機構解明などは, がん遺伝子, がん抑制遺伝子などの発見やその機能解明につながった. そして, その成果は「がんは遺伝子の異常によって起きる病気である」という概念を導いている. 真核細胞の生命機能維持の基礎を担う最も重要な因子の1つである核内DNAはクロマチンに存在する. クロマチンはピストンH2A, H2B, H3, H4それぞれ2分子からなるピストン8量体に約147塩基対のDNAが巻き付いたヌクレオソームを基本単位としている. このクロマチンはDNAを核内に収納する機能だけではなく, 遺伝子発現調節などの遺伝子機能制御にも大きく関与していることが明らかにされている. それゆえ, このクロマチンにおける異常や変異はがんを含む疾病に関与することが容易に想像つく.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.127.469