小児音声言語障害の現状と今後の課題 言語聴覚士としての対応

「1. はじめに」近年, さまざまな社会状況の変化に伴い, 小児の言語聴覚療法の必要性は高まっているにもかかわらず, 対応できる機関は限られ, 担当する人材も少ないのが現状である. 今回, 言語聴覚士(以下, ST)の立場から, 小児の言語聴覚療法の現状と今後の課題について検討した. 「2. 小児担当の言語聴覚士の役割」「1)正確な評価・診断(鑑別診断)」乳幼児の主訴で最も多いのが「ことばが遅い」である. しかし, 実際には, 軽度~中等度難聴に伴う言語発達障害であったり, 広汎性発達障害であったりする. また, 「発音がおかしい」という主訴が, 実際には, 機能性構音障害ではなく, 軽度~中...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 116; no. 8; pp. 997 - 998
Main Author 笠井, 新一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.08.2013
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.116.997

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Summary:「1. はじめに」近年, さまざまな社会状況の変化に伴い, 小児の言語聴覚療法の必要性は高まっているにもかかわらず, 対応できる機関は限られ, 担当する人材も少ないのが現状である. 今回, 言語聴覚士(以下, ST)の立場から, 小児の言語聴覚療法の現状と今後の課題について検討した. 「2. 小児担当の言語聴覚士の役割」「1)正確な評価・診断(鑑別診断)」乳幼児の主訴で最も多いのが「ことばが遅い」である. しかし, 実際には, 軽度~中等度難聴に伴う言語発達障害であったり, 広汎性発達障害であったりする. また, 「発音がおかしい」という主訴が, 実際には, 機能性構音障害ではなく, 軽度~中等度難聴に伴う発音の不明瞭さであったり, 知的障害に伴う構音障害であったりする. 子どもの発達は未分化のため, 表面的に現れている症状にとらわれ, 保護者の訴えをそのままうのみにすると原障害を見逃してしまう可能性がある.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.116.997