頭蓋底外科 われわれの辿った道と今後の展望

頭蓋底は脳頭蓋と顔面頭蓋の境界に位置し, 多くの血管や神経が存在し複雑な構造を呈している. さらに顔面深部に存在するため, ここに生じる病変の診断治療は困難である. 特に手術においては生命予後に直結する頭蓋内合併症に加えて顔面神経, 視覚, 嚥下, 咀嚼, 構音, 整容といった患者 QOL に直結する問題が生じるため, 極めて高度な手技が要求される. そのため, 頭蓋底手術を安全に行うためにはチーム医療の確立, 新たな手術手技の開発や機器の導入と解剖学的検討に基づく十分な知識が必要不可欠である. さらに内視鏡手術などの minimally invasive surgery の開発による機能や形...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 118; no. 3; pp. 229 - 239
Main Author 岸本, 誠司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.03.2015
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.118.229

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Summary:頭蓋底は脳頭蓋と顔面頭蓋の境界に位置し, 多くの血管や神経が存在し複雑な構造を呈している. さらに顔面深部に存在するため, ここに生じる病変の診断治療は困難である. 特に手術においては生命予後に直結する頭蓋内合併症に加えて顔面神経, 視覚, 嚥下, 咀嚼, 構音, 整容といった患者 QOL に直結する問題が生じるため, 極めて高度な手技が要求される. そのため, 頭蓋底手術を安全に行うためにはチーム医療の確立, 新たな手術手技の開発や機器の導入と解剖学的検討に基づく十分な知識が必要不可欠である. さらに内視鏡手術などの minimally invasive surgery の開発による機能や形態の温存や, 術後合併症に対する機能再建外科を確立する必要があるが, そのためにはこれまでの知識と技術を伝承していくことが非常に重要である. 本稿では頭蓋底手術に関するわれわれのこれまでの取り組みと得られた新知見, ならびに今後の展望について述べる.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.118.229