アスピリンおよびプラスグレルでのDAPT内服下でSATを発症した訪日外国人の1例

症例は高血圧,脂質異常症,糖尿病の既往のある東南アジアからの渡航者の66歳男性.急性心筋梗塞を発症し,緊急冠動脈造影(CAG)で右冠動脈(RCA)#1 75%,#3 100%,左前下行枝(LAD)#6 90%狭窄を認め,LAD#6に薬物溶出性ステントを留置のうえ,アスピリンおよびプラスグレルによる抗血小板薬併用療法(DAPT)を開始した.第14病日突然の血圧,酸素化低下を認め,緊急CAGにてLAD#6ステント内閉塞とRCA#1の完全閉塞を認めた.亜急性ステント血栓症(SAT)の診断でバルーン拡張,血栓吸引を行い,プラスグレルをチカグレロルへ変更し,経過良好で第49病日に帰国となった.プラスグレ...

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Published in日本冠疾患学会誌 Vol. 1; pp. 9 - 14
Main Authors 原, 久男, 中村, はるか, 粟屋, 徹, 廣井, 透雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本冠疾患学会 2019
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ISSN2434-2157
DOI10.32182/njcoron.19-00002

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Summary:症例は高血圧,脂質異常症,糖尿病の既往のある東南アジアからの渡航者の66歳男性.急性心筋梗塞を発症し,緊急冠動脈造影(CAG)で右冠動脈(RCA)#1 75%,#3 100%,左前下行枝(LAD)#6 90%狭窄を認め,LAD#6に薬物溶出性ステントを留置のうえ,アスピリンおよびプラスグレルによる抗血小板薬併用療法(DAPT)を開始した.第14病日突然の血圧,酸素化低下を認め,緊急CAGにてLAD#6ステント内閉塞とRCA#1の完全閉塞を認めた.亜急性ステント血栓症(SAT)の診断でバルーン拡張,血栓吸引を行い,プラスグレルをチカグレロルへ変更し,経過良好で第49病日に帰国となった.プラスグレルは中国,韓国を含む諸外国でローディング量60 mg,維持用量10 mgであるが,わが国では約1/3量である20 mg,3.75 mgが承認されている.そのため,訪日外国人への導入時には血栓症のリスクや帰国後の用量変更が懸念される.一方,チカグレロルは海外容量で承認されている.訪日外国人への薬剤選択の際には用量の違いや,各国の流通なども考慮する必要がある.
ISSN:2434-2157
DOI:10.32182/njcoron.19-00002