風疹ワクチンの2回接種法と尿中風疹抗体スクリーニングによる接種法の費用対効果の比較

我が国ではMMRワクチンが使用できず, 別々に接種せねばならない. そのため風疹ワクチン接種率は50~60%と低く, このままでは将来も先天性風疹症候群を根絶することは難しい. 接種率を上げる方法として2回接種法があるが, どんな方法がもっとも効率良く抗体陽性率を上昇できるか検討したので報告する. 3種類の2回接種モデルを想定し, 予想される抗体陽性率と日本全体における費用を計算した. 第1モデルは1回目の接種を1~3歳までに, 2回目を6~9歳に個別接種にで実施する. 第2モデルは, 第1モデルと同様であるが, 2回目の接種を集団接種で行う. 第3モデルは1回目接種を他モデルと同様に, 2回...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 74; no. 12; pp. 1012 - 1017
Main Authors 大門, 祐介, 寺田, 喜平, 新妻, 隆広, 片岡, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.12.2000
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.74.1012

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Summary:我が国ではMMRワクチンが使用できず, 別々に接種せねばならない. そのため風疹ワクチン接種率は50~60%と低く, このままでは将来も先天性風疹症候群を根絶することは難しい. 接種率を上げる方法として2回接種法があるが, どんな方法がもっとも効率良く抗体陽性率を上昇できるか検討したので報告する. 3種類の2回接種モデルを想定し, 予想される抗体陽性率と日本全体における費用を計算した. 第1モデルは1回目の接種を1~3歳までに, 2回目を6~9歳に個別接種にで実施する. 第2モデルは, 第1モデルと同様であるが, 2回目の接種を集団接種で行う. 第3モデルは1回目接種を他モデルと同様に, 2回目は小学校1年の学校検尿を利用して尿中風疹抗体を測定し, 陰性者に個別接種する. 結果は第1から第3モデルにかけて抗体陽性率が約60~90%に増加するに伴い費用も73~128億円に増加した. 尿中抗体の検査費用は, 検体数が年間約120万と多量なため安価になると予想できる. 今回の設定金額 (3, 000円) の半額以下になると第3モデルが費用対効果でもっともよかった. 予想価格600円では第2モデルより総額で年間20億円安くでき, 費用対効果でも20%改善した. 尿中風疹抗体スクリーニング法は90%以上の抗体陽性率が得られ, 費用対効果でも優れた方法と考えられた.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.74.1012