超高圧処理技術を応用した人工角膜の作製と評価

人工角膜として、これまでに多くの材料研究が行われているが、移植後の感染や脱落により、長期間有用である人工角膜開発には至っていない。一方、異種組織から細胞を除去し、残存する基材を移植組織として用いる方法として、組織の脱細胞化が検討されている。これまで我々は、脱細胞化法として、超高圧印加により組織内の細胞を破壊し、洗浄により細胞残渣を除去する超高圧脱細胞化法を考案した。本手法で、細胞の除去による免疫反応の抑制と生体の微小構造の保持による適合性の向上が期待できる。本研究では、超高圧脱細胞化法による人工角膜の作製とその物性解析を行ない、角膜移植片としての可能性を検討した。超高圧処理で得られた脱細胞角膜...

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Published inHigh Pressure Bioscience and Biotechnology Vol. 2; no. 1; pp. 138 - 144
Main Authors 藤里, 俊哉, 舩本, 誠一, 佐々木, 秀次, 小林, 尚俊, 岸田, 晶夫, 木村, 剛, 本田, 貴子, 服部, 晋也, 望月, 学, 橋本, 良秀, 南, 祐広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 生物関連高圧研究会 2008
Japanese Research Group of High Pressure Bioscience and Biotechnology
Subjects
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ISSN1882-1723
DOI10.11229/hpbb.2.138

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Summary:人工角膜として、これまでに多くの材料研究が行われているが、移植後の感染や脱落により、長期間有用である人工角膜開発には至っていない。一方、異種組織から細胞を除去し、残存する基材を移植組織として用いる方法として、組織の脱細胞化が検討されている。これまで我々は、脱細胞化法として、超高圧印加により組織内の細胞を破壊し、洗浄により細胞残渣を除去する超高圧脱細胞化法を考案した。本手法で、細胞の除去による免疫反応の抑制と生体の微小構造の保持による適合性の向上が期待できる。本研究では、超高圧脱細胞化法による人工角膜の作製とその物性解析を行ない、角膜移植片としての可能性を検討した。超高圧処理で得られた脱細胞角膜は、生体角膜に比べ白濁はしていたが組織内部から細胞は完全に除去されていた。また、移植結果により白濁していた角膜は透明となり移植後の拒絶も観察されなかった。このことから、超高圧印加法は、組織構造を維持しつつ、組織内からの細胞除去が行え、組織適合性が高い組織の作製ができるものと考えられ、かつ眼科領域における移植組織不足を解消できるものと考えられる。
ISSN:1882-1723
DOI:10.11229/hpbb.2.138