硬性鏡下腫瘍削除術後にスリーブ右肺全摘術を施行した若年者肺肉腫の1切除例

肺肉腫では時に中枢側気道内進展による呼吸不全症状を呈することがある.今回我々は急速に増大した肺肉腫に対し,硬性鏡下腫瘍削除術による術前気道確保と,気管吻合部狭窄に対する術中Dumonステント留置が有用であった一例を報告する.症例は21歳男性,主訴は窒息症状.右主気管支から下部気管をほぼ閉塞する腫瘤を認め,緊急硬性鏡下腫瘍削除術により,中枢気道の確保と右無気肺の改善を得た.切除標本で紡錘形細胞肺肉腫が疑われ,二期的にスリーブ右肺全摘術を施行した.右肺門部から右上葉および気管右壁に腫瘤を形成しており,分岐部を含め気管5軟骨輪と左2軟骨輪を切除し端々吻合した.術中に吻合部過緊張による吻合部狭窄を生じ...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 25; no. 5; pp. 552 - 558
Main Authors 笹本, 修一, 高木, 啓吾, 佐藤, 史朋, 高橋, 祥司, 秦, 美暢, 密田, 亜希
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2011
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.25.552

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Summary:肺肉腫では時に中枢側気道内進展による呼吸不全症状を呈することがある.今回我々は急速に増大した肺肉腫に対し,硬性鏡下腫瘍削除術による術前気道確保と,気管吻合部狭窄に対する術中Dumonステント留置が有用であった一例を報告する.症例は21歳男性,主訴は窒息症状.右主気管支から下部気管をほぼ閉塞する腫瘤を認め,緊急硬性鏡下腫瘍削除術により,中枢気道の確保と右無気肺の改善を得た.切除標本で紡錘形細胞肺肉腫が疑われ,二期的にスリーブ右肺全摘術を施行した.右肺門部から右上葉および気管右壁に腫瘤を形成しており,分岐部を含め気管5軟骨輪と左2軟骨輪を切除し端々吻合した.術中に吻合部過緊張による吻合部狭窄を生じたため,Dumonステントを挿入して再吻合した.術後4ヵ月で局所再発を認め,doxorubicin/ifosfamideによる化学療法で一時PRを得たが,次第に化学療法無効となり術後26ヵ月で腫瘍死した.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.25.552