急激な経過を辿った胆嚢癌肉腫の1例

患者は70歳,男性.下血を主訴に当院を受診.下部内視鏡検査にて結腸肝彎曲部に巨大な隆起性腫瘍を認め,腹部造影CT検査では胆嚢から横行結腸に跨るように約12cm大の腫瘤性病変を認めた.精査中も腫瘍は急速に増大し右季肋部に突出するようになった.結腸浸潤を伴う胆嚢癌の疑診断で手術を施行した.拡大胆嚢摘出術と右半結腸切除術を施行した.腫瘍は胆嚢内腔に充満しており,結腸内腔へ突出するように分葉状に発育していた.病理組織学的検査にて,真の胆嚢癌肉腫と診断された.術後23日目に退院したが,程なく局所再発をきたし,術後56日目に永眠した.胆嚢癌肉腫は本邦で48例が報告されたにすぎない稀な疾患であり,その臨床的...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 11; pp. 2904 - 2908
Main Authors 山藤, 和夫, 赤塚, 誠哉, 竹島, 薫, 長崎, 和仁, 朝見, 淳規, 窪地, 淳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.72.2904

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Summary:患者は70歳,男性.下血を主訴に当院を受診.下部内視鏡検査にて結腸肝彎曲部に巨大な隆起性腫瘍を認め,腹部造影CT検査では胆嚢から横行結腸に跨るように約12cm大の腫瘤性病変を認めた.精査中も腫瘍は急速に増大し右季肋部に突出するようになった.結腸浸潤を伴う胆嚢癌の疑診断で手術を施行した.拡大胆嚢摘出術と右半結腸切除術を施行した.腫瘍は胆嚢内腔に充満しており,結腸内腔へ突出するように分葉状に発育していた.病理組織学的検査にて,真の胆嚢癌肉腫と診断された.術後23日目に退院したが,程なく局所再発をきたし,術後56日目に永眠した.胆嚢癌肉腫は本邦で48例が報告されたにすぎない稀な疾患であり,その臨床的および病理学的特徴につき,若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.2904