前立腺癌ホルモン療法中に発見された小腸間膜デスモイド腫瘍の1例

症例は54歳,男性.多発骨転移を伴う前立腺癌に対してホルモン療法施行中であったが,治療効果評価目的の腹部CT検査で偶然に腹腔内腫瘤が指摘された.ホルモン療法開始前に施行された腹部CT検査で腫瘤は指摘されておらず,前立腺癌のリンパ節転移を疑いしばらく継続加療された.しかし,骨転移の悪化はないものの同腫瘤のみが徐々に増大傾向を示したために,他疾患を考慮して当科紹介となった.上部・下部内視鏡検査で異常所見は指摘されず,小腸間膜内に発生した間葉系腫瘍を疑い手術を施行した.病理組織検査でデスモイド腫瘍と診断されたが,家族性大腸腺腫症などの遺伝性疾患や開腹手術の既往はなく,前立腺癌に対するホルモン療法によ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 12; pp. 3223 - 3226
Main Authors 徳毛, 誠樹, 塩田, 邦彦, 中村, 聡子, 伊賀, 徳周, 鈴鹿, 伊智雄, 溝尾, 妙子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.3223

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Summary:症例は54歳,男性.多発骨転移を伴う前立腺癌に対してホルモン療法施行中であったが,治療効果評価目的の腹部CT検査で偶然に腹腔内腫瘤が指摘された.ホルモン療法開始前に施行された腹部CT検査で腫瘤は指摘されておらず,前立腺癌のリンパ節転移を疑いしばらく継続加療された.しかし,骨転移の悪化はないものの同腫瘤のみが徐々に増大傾向を示したために,他疾患を考慮して当科紹介となった.上部・下部内視鏡検査で異常所見は指摘されず,小腸間膜内に発生した間葉系腫瘍を疑い手術を施行した.病理組織検査でデスモイド腫瘍と診断されたが,家族性大腸腺腫症などの遺伝性疾患や開腹手術の既往はなく,前立腺癌に対するホルモン療法による性ホルモンのバランスの乱れが本腫瘍発生・増大に寄与しているのではないかと推察された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.3223