胸骨原発の孤立性形質細胞腫の1例

症例は70歳代男性.1ヵ月前から前胸部の膨隆を認め,疼痛を伴うため近医受診.胸骨腫瘍を疑われ精査加療目的にて当院紹介受診となった.胸部CTにて胸骨柄部に6×6cm大の腫瘤を認め,骨の破壊像を伴っていた.PETでは腫瘤に一致してFDGの異常集積を認めた.胸骨原発の悪性腫瘍を考え,外科的治療を施行した.両側第1・第2肋軟骨切離,第2肋間レベルで胸骨横切,鎖骨は温存し胸骨柄を切除した.胸壁欠損は11×10cmとなり,メッシュと大胸筋弁を用いて胸壁再建を行った.術後は特記すべき合併症なく経過し,術後21日目に独歩退院となった.摘出標本の組織学的検査では胸骨骨髄に形質細胞様の腫瘍細胞の増殖がみられ,免疫...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 24; no. 2; pp. 242 - 246
Main Authors 前田, 愛, 清水, 克彦, 平見, 有二, 中田, 昌男, 湯川, 拓郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2010
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.24.242

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Summary:症例は70歳代男性.1ヵ月前から前胸部の膨隆を認め,疼痛を伴うため近医受診.胸骨腫瘍を疑われ精査加療目的にて当院紹介受診となった.胸部CTにて胸骨柄部に6×6cm大の腫瘤を認め,骨の破壊像を伴っていた.PETでは腫瘤に一致してFDGの異常集積を認めた.胸骨原発の悪性腫瘍を考え,外科的治療を施行した.両側第1・第2肋軟骨切離,第2肋間レベルで胸骨横切,鎖骨は温存し胸骨柄を切除した.胸壁欠損は11×10cmとなり,メッシュと大胸筋弁を用いて胸壁再建を行った.術後は特記すべき合併症なく経過し,術後21日目に独歩退院となった.摘出標本の組織学的検査では胸骨骨髄に形質細胞様の腫瘍細胞の増殖がみられ,免疫染色で腫瘍細胞はCD79a陽性,CD38,CD138一部陽性,IgA一部弱陽性であり形質細胞腫と診断された.孤立性形質細胞腫は比較的稀な疾患であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.24.242