肝切除により完治した感染性肝嚢胞の1例

症例は64歳,女性.8日前からの発熱と右季肋部痛の精査加療目的に当院を受診し,同日入院となった.肝後下区域に12cmの肝膿瘍を認め経皮経肝膿瘍ドレナージ(PTAD)を施行し,ドレナージカテーテルを留置した.後日,3年前の健診で肝後区域に10cmの肝嚢胞を指摘されていることが判明し,感染性肝嚢胞と診断した.PTAD後に症状は速やかに軽快したが,ドレナージカテーテルから連日50~100mlの膿性排液が持続し治癒が得られなかった.PTAD後から20日目に肝後下区域切除を施行し,術後13日目に軽快退院となった. PTADは感染性肝嚢胞の感染制御には有効であるが治癒には至らないこともあり,自験例のように...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 11; pp. 2889 - 2893
Main Authors 小林, 正史, 阿部, 徹, 藤井, 秀樹, 日向, 理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.72.2889

Cover

More Information
Summary:症例は64歳,女性.8日前からの発熱と右季肋部痛の精査加療目的に当院を受診し,同日入院となった.肝後下区域に12cmの肝膿瘍を認め経皮経肝膿瘍ドレナージ(PTAD)を施行し,ドレナージカテーテルを留置した.後日,3年前の健診で肝後区域に10cmの肝嚢胞を指摘されていることが判明し,感染性肝嚢胞と診断した.PTAD後に症状は速やかに軽快したが,ドレナージカテーテルから連日50~100mlの膿性排液が持続し治癒が得られなかった.PTAD後から20日目に肝後下区域切除を施行し,術後13日目に軽快退院となった. PTADは感染性肝嚢胞の感染制御には有効であるが治癒には至らないこともあり,自験例のように膿性排液の持続する症例には積極的な肝切除も有効な治療法の1つと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.2889