温泉浴槽内溺水後の肺炎患者から検出されたLegionella pneumophila SG3について

我々は, 温泉浴槽内で溺水後にadult respiratory distress syndrome (ARDS) を起こし, 一旦軽快後, 再度ARDSを伴って重症肺炎を発症した71歳女性の気管吸引物のBCYEα 寒天培養でLegionella pneumophila serogroup (SG) 3を純培養状に検出し起炎菌と判定した.マイクロプレート定量凝集反応で測定した患者ペア血清の抗体価はL. pneumophila SG3のパイ'ロツト株Bloomington-2 (=ATCC 33155) と患者由来株Y-1の双方に対して1: 20から1: 320に上昇し, seroco...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 69; no. 12; pp. 1356 - 1364
Main Authors 山本, 公三, 塩田, 量子, 藪内, 英子, 王, 笠, 今田, 和子, 武下, 公子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.12.1995
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.69.1356

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Summary:我々は, 温泉浴槽内で溺水後にadult respiratory distress syndrome (ARDS) を起こし, 一旦軽快後, 再度ARDSを伴って重症肺炎を発症した71歳女性の気管吸引物のBCYEα 寒天培養でLegionella pneumophila serogroup (SG) 3を純培養状に検出し起炎菌と判定した.マイクロプレート定量凝集反応で測定した患者ペア血清の抗体価はL. pneumophila SG3のパイ'ロツト株Bloomington-2 (=ATCC 33155) と患者由来株Y-1の双方に対して1: 20から1: 320に上昇し, seroconversionと認めた.溺水より27日後, 同じ浴槽の温泉水を採取して培養しL. pneumophila SG3を検出したので浴槽水を感染源と判定した.浴槽水中の菌数は3CFU/100mlと少なく, 通常は問題にならない菌数であるが, 溺水による浴槽水吸引が感染を導いたと推定される.従って浴槽水中のLegionella属菌数の低減に努めるのみならず, 無人の浴室での高齢者や飲酒者の単独入浴を避けること, 浴槽内に手すりなどの設備をすることが必要である.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.69.1356