熊本地震における当院の外傷手術対応について 整形外科外傷を中心に

2016年4月の熊本地震により被害の大きかった益城町,南阿蘇村,西原村から最も近い基幹災害拠点病院である当院では,発災後1週間で2,836人の患者を受け入れた.外傷手術の90%以上は整形外科関連であり,発災後1週間で37例の整形外科外傷手術を行った.家屋,ブロック塀の倒壊を原因とする開放骨折の手術が多かったが,一方で避難所での転倒を原因とする大腿骨近位部骨折などの脆弱性骨折の手術も多数行った.災害時の外傷手術対応の問題点として,手術室の稼働状況,余震による影響,手術インプラントの確保,入院病床の確保などが挙げられる.16日の本震により手術室機能の一部が停止したが,対応可能な緊急手術を引き続き行...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 67; no. 2; pp. 329 - 331
Main Authors 井本, 光次郎, 城下, 卓也, 佐久間, 克彦, 岡村, 直樹, 宮本, 和彦, 岡野, 博史, 林田, 洋一, 岡田, 二郎, 細川, 浩, 本多, 一宏, 中島, 伸一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2018
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.67.329

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Summary:2016年4月の熊本地震により被害の大きかった益城町,南阿蘇村,西原村から最も近い基幹災害拠点病院である当院では,発災後1週間で2,836人の患者を受け入れた.外傷手術の90%以上は整形外科関連であり,発災後1週間で37例の整形外科外傷手術を行った.家屋,ブロック塀の倒壊を原因とする開放骨折の手術が多かったが,一方で避難所での転倒を原因とする大腿骨近位部骨折などの脆弱性骨折の手術も多数行った.災害時の外傷手術対応の問題点として,手術室の稼働状況,余震による影響,手術インプラントの確保,入院病床の確保などが挙げられる.16日の本震により手術室機能の一部が停止したが,対応可能な緊急手術を引き続き行った.しかしながら,余震が続く影響で脊椎外傷と骨盤外傷は広域搬送とした.今回,被災地の基幹災害拠点病院において,多くの救急外傷対応と整形外科外傷手術を行った.発災直後の救急対応,外傷手術の内訳と問題点について報告する.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.67.329