腎結腸瘻により,腸腰筋膿瘍と汎発性腹膜炎を呈した1例

症例は79歳,女性.10日ほど前より左腰痛,2日前より下腹部痛,嘔吐出現,増強するため当院に救急搬送された.16年前に直腸癌にて腹会陰式直腸切断術の既往があった.左下腹部に筋性防御を認め,血液検査では著明な炎症所見を認めた.腹部CTでは,腹膜炎の所見とともに巨大な左腎結石と左腸腰筋の腫大が認められた.同日,緊急手術を行った.開腹すると乳白色の膿性腹水を認め,汎発性腹膜炎の状態であったが,腸管に絞扼や穿孔は認められず,腎盂腎炎に伴う急性汎発性腹膜炎と判断.洗浄・ドレナージのみを行った.翌日,経皮的に左腎瘻を造設し造影すると,左尿管からDouglas窩が造影され,少し遅れて腎から結腸が直接造影され...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 11; pp. 3438 - 3441
Main Authors 赤間, 史隆, 久野, 博, 林徳, 真吉, 野川, 辰彦, 地引, 政晃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.3438

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Summary:症例は79歳,女性.10日ほど前より左腰痛,2日前より下腹部痛,嘔吐出現,増強するため当院に救急搬送された.16年前に直腸癌にて腹会陰式直腸切断術の既往があった.左下腹部に筋性防御を認め,血液検査では著明な炎症所見を認めた.腹部CTでは,腹膜炎の所見とともに巨大な左腎結石と左腸腰筋の腫大が認められた.同日,緊急手術を行った.開腹すると乳白色の膿性腹水を認め,汎発性腹膜炎の状態であったが,腸管に絞扼や穿孔は認められず,腎盂腎炎に伴う急性汎発性腹膜炎と判断.洗浄・ドレナージのみを行った.翌日,経皮的に左腎瘻を造設し造影すると,左尿管からDouglas窩が造影され,少し遅れて腎から結腸が直接造影された.尿管の穿孔と腎結腸瘻が考えられた.その後の再手術にて,左尿管は総腸骨動脈と交叉する付近で閉塞,その中枢側にて穿孔していたことが判明した.病理学的検索にて腎結腸瘻は結腸憩室が原因と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.3438