空洞形成を呈した肺原発悪性リンパ腫の1例

症例は68歳女性.慢性副鼻腔炎の既往がある.2003年11月,胸部CT検査にて右S9に5cm大の結節影とS8に小結節影を指摘された.2004年4月,CTにて右S9の腫瘤は増大し,内部に空洞と液面形成を認めた.また,両肺野に新たな小結節の増加を認めた.気管支鏡検査にて悪性所見なく,確定診断目的に開胸下右下葉切除術を施行し,diffuse large B-cell lymphoma(DLBL)の診断を得た.肺原発悪性リンパ腫は既存の肺構造を破壊することなく病変が広がる特徴があり空洞形成を呈することは稀である.しかし,自験例を含め空洞形成をきたした症例は数例ありいずれもDLBLであった.肺原発悪性リ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 22; no. 4; pp. 666 - 671
Main Authors 佐伯, 英行, 大谷, 弘樹, 福原, 哲治, 花岡, 俊仁, 多田, 明博, 山本, 澄治, 小林, 一泰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2008
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.22.666

Cover

More Information
Summary:症例は68歳女性.慢性副鼻腔炎の既往がある.2003年11月,胸部CT検査にて右S9に5cm大の結節影とS8に小結節影を指摘された.2004年4月,CTにて右S9の腫瘤は増大し,内部に空洞と液面形成を認めた.また,両肺野に新たな小結節の増加を認めた.気管支鏡検査にて悪性所見なく,確定診断目的に開胸下右下葉切除術を施行し,diffuse large B-cell lymphoma(DLBL)の診断を得た.肺原発悪性リンパ腫は既存の肺構造を破壊することなく病変が広がる特徴があり空洞形成を呈することは稀である.しかし,自験例を含め空洞形成をきたした症例は数例ありいずれもDLBLであった.肺原発悪性リンパ腫のうち大部分が低悪性度のmucosa-associated lymphoid tissue(MALT)lymphomaであり,より悪性度の高い稀なDLBLでは壊死傾向を示し空洞形成をきたす可能性が考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.22.666