胆嚢癌と鑑別困難であった黄色肉芽腫性胆嚢炎の1例

黄色肉芽腫性胆嚢炎(以下XGC)は亜急性胆嚢炎の範疇に属する特徴的な肉眼像と病理組織像を呈する胆嚢炎の一つである.本症は臨床的に病変の進展様式,特徴的な組織像から悪性腫瘍,特に浸潤型胆嚢癌との鑑別が困難な疾患とされている.われわれは胆嚢癌との鑑別が困難であったXGCの1例を経験したので報告する.症例は71歳,男性.右季肋部痛と黄疸を主訴に来院.術前の腹部US,CT検査にて胆嚢壁の肥厚および胆嚢床部への浸潤像が認められ,浸潤性胆嚢癌が疑われた.鑑別診断としてXGCが考えられたが,腫瘍マーカーの上昇,胆汁細胞診でClassIV~Vの診断および18F-FDG-PET検査にて胆嚢に腫瘍性集積が指摘され...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 10; pp. 3100 - 3104
Main Authors 松本, 亮一, 木下, 壽文, 末吉, 晋, 島松, 一秀, 広津, 順, 石川, 博人, 白水, 和雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.3100

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Summary:黄色肉芽腫性胆嚢炎(以下XGC)は亜急性胆嚢炎の範疇に属する特徴的な肉眼像と病理組織像を呈する胆嚢炎の一つである.本症は臨床的に病変の進展様式,特徴的な組織像から悪性腫瘍,特に浸潤型胆嚢癌との鑑別が困難な疾患とされている.われわれは胆嚢癌との鑑別が困難であったXGCの1例を経験したので報告する.症例は71歳,男性.右季肋部痛と黄疸を主訴に来院.術前の腹部US,CT検査にて胆嚢壁の肥厚および胆嚢床部への浸潤像が認められ,浸潤性胆嚢癌が疑われた.鑑別診断としてXGCが考えられたが,腫瘍マーカーの上昇,胆汁細胞診でClassIV~Vの診断および18F-FDG-PET検査にて胆嚢に腫瘍性集積が指摘されたため,胆嚢癌の可能性が高いと判断した.手術は肝中央二区域切除,肝外胆管切除,D2リンパ節郭清,肝管空腸吻合術を施行した.術後病理組織診断ではXGCであり,悪性所見は認められなかった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.3100