肺転移巣においてgrowing teratoma syndromeを呈した胚細胞腫瘍の1例
胚細胞腫瘍では化学療法後腫瘍マーカーが正常化するものの腫瘍の増大を認めることがあり,これらのうち切除標本にてmature teratoma成分のみを認めるものはgrowing teratoma syndromeと呼ばれている.症例は25歳,男性.右精巣非精細胞性胚細胞腫瘍術後に左肺転移,後腹膜転移を認め化学療法としてBEP療法とTIP療法を行った.血中AFP値の正常化にも関わらず左肺転移巣の増大を認め,FDG-PETでは集積はほとんど認めずgrowing teratoma syndromeが疑われた.手術目的に当科紹介となった.CTでは左肺門部に103×82mmの腫瘍を認め,前回化学療法後より...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 12; pp. 3532 - 3538 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2009
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.70.3532 |
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Summary: | 胚細胞腫瘍では化学療法後腫瘍マーカーが正常化するものの腫瘍の増大を認めることがあり,これらのうち切除標本にてmature teratoma成分のみを認めるものはgrowing teratoma syndromeと呼ばれている.症例は25歳,男性.右精巣非精細胞性胚細胞腫瘍術後に左肺転移,後腹膜転移を認め化学療法としてBEP療法とTIP療法を行った.血中AFP値の正常化にも関わらず左肺転移巣の増大を認め,FDG-PETでは集積はほとんど認めずgrowing teratoma syndromeが疑われた.手術目的に当科紹介となった.CTでは左肺門部に103×82mmの腫瘍を認め,前回化学療法後よりも増大していた.後腹膜大動脈近傍にも26×17mmの腫瘍を認め左肺全摘術+後腹膜腫瘍摘出術を施行した.術後約24カ月経過した現在も再発を認めていない.非精細胞性胚細胞腫瘍治療時にはgrowing teratoma syndromeの可能性を念頭におき,当該症候群を認めた場合には外科的切除も考慮するべきである. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.70.3532 |