術後経過からみた高悪性度肺神経内分泌腫瘍の病理組織学的検討

肺の高悪性度神経内分泌腫瘍には大細胞神経内分泌癌と小細胞癌とが含まれるが,両者は組織学的に鑑別困難な場合がある.これらを一括して術後経過を検討したところ,病期I期であった17例のうち,7例は術後15ヵ月までに死亡し,10例は25~145ヵ月間再発なく生存していた.そこで,早期死亡例と長期生存例との間における高悪性度神経内分泌腫瘍の病理学的差異について検討した.その結果,組織学的に特定の構造を示すことなく充実性に増殖する腫瘍は早期死亡例に多く,神経内分泌への分化を示す腫瘍や他の癌腫成分が混在する腫瘍は長期生存例に多く存在した.また,早期死亡例では長期生存例に比しMIB-1標識率が有意に高かった....

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 21; no. 4; pp. 531 - 537
Main Authors 横内, 幸, 岡, 輝明, 若山, 恵, 大原関, 利章, 渋谷, 和俊, 草地, 信也, 高橋, 啓, 辻本, 志朗, 高木, 啓吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2007
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.21.531

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Summary:肺の高悪性度神経内分泌腫瘍には大細胞神経内分泌癌と小細胞癌とが含まれるが,両者は組織学的に鑑別困難な場合がある.これらを一括して術後経過を検討したところ,病期I期であった17例のうち,7例は術後15ヵ月までに死亡し,10例は25~145ヵ月間再発なく生存していた.そこで,早期死亡例と長期生存例との間における高悪性度神経内分泌腫瘍の病理学的差異について検討した.その結果,組織学的に特定の構造を示すことなく充実性に増殖する腫瘍は早期死亡例に多く,神経内分泌への分化を示す腫瘍や他の癌腫成分が混在する腫瘍は長期生存例に多く存在した.また,早期死亡例では長期生存例に比しMIB-1標識率が有意に高かった.病期I期の高悪性度肺神経内分泌腫瘍では,形態学的な癌の分化傾向の程度やMIB-1標識率から予後を推測しうると考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.21.531