右側肝円索を伴った肝内胆管癌の1切除例
症例は67歳,女性.血液検査でCEA,CA19-9の上昇を認め,精査目的に当院紹介.CTで肝左葉に肝内胆管の拡張と淡く染まる4.5×3.0cm大の腫瘍を認めた.門脈臍部は通常の位置に存在せず,胆嚢底部は外側区域に存在した.血管造影CTでは,門脈本幹を尾側から追うと,門脈本幹からまず後区域枝が出た後,門脈本幹は外側区域枝を出し,門脈臍部を形成して前区域枝を出していた.CT during drip infusion cholangiography(DIC-CT)では,左肝管は腫瘍により根部で閉塞し,右肝管は胆嚢頸部の腹側を横切り,後区域と前区域に分岐していた.以上から右側肝円索を伴った中枢型の肝内...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 10; pp. 3110 - 3114 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2009
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.70.3110 |
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Summary: | 症例は67歳,女性.血液検査でCEA,CA19-9の上昇を認め,精査目的に当院紹介.CTで肝左葉に肝内胆管の拡張と淡く染まる4.5×3.0cm大の腫瘍を認めた.門脈臍部は通常の位置に存在せず,胆嚢底部は外側区域に存在した.血管造影CTでは,門脈本幹を尾側から追うと,門脈本幹からまず後区域枝が出た後,門脈本幹は外側区域枝を出し,門脈臍部を形成して前区域枝を出していた.CT during drip infusion cholangiography(DIC-CT)では,左肝管は腫瘍により根部で閉塞し,右肝管は胆嚢頸部の腹側を横切り,後区域と前区域に分岐していた.以上から右側肝円索を伴った中枢型の肝内胆管癌の診断で,拡大左葉切除および胆道再建を施行.術後経過は良好で術後38日目退院し,術後1年3カ月の現在再発を認めていない.右側肝円索は稀であるが,門脈分岐異常を伴うことが多く肝切除を行う際は注意が必要である.術中,術後合併症を回避するために,multidetector-row CT(MDCT),血管造影CTなどによる十分な術前の評価と術中エコーによる確認が重要と考えられる. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.70.3110 |