肝細胞癌のリンパ節転移に対し超音波内視鏡下エタノール注入療法が奏功した一例

症例は69歳男性.2005年1月に肝細胞癌(HCC)初発し,ラジオ波焼灼術(RFA)を施行,以後HCC再発繰り返し肝動脈塞栓術(TACE),RFAを計2回施行した.2009年10月,肝S4のHCC再発,膵頭部のリンパ節転移が疑われたため血管造影を施行したところ肝S4と膵頭部領域に腫瘍濃染を認めた.膵頭部の腫瘍濃染は肝動脈造影下CT(CT during hepatic arteriography;CTHA)にて膵頭リンパ節と考えられた.時系列でみても明らかに増大傾向を認め,HCCのリンパ節転移と診断した.肝S4のHCCに対してはTACE,RFAを施行,転移リンパ節に対しては超音波内視鏡(EUS)...

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Published in肝臓 Vol. 52; no. 10; pp. 671 - 678
Main Authors 武智, 俊治, 佐々木, 由子, 上甲, 康二, 落合, 理乃, 横田, 智行, 大野, 芳敬, 大久保, 智恵, 忽那, 茂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2011
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.52.671

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Summary:症例は69歳男性.2005年1月に肝細胞癌(HCC)初発し,ラジオ波焼灼術(RFA)を施行,以後HCC再発繰り返し肝動脈塞栓術(TACE),RFAを計2回施行した.2009年10月,肝S4のHCC再発,膵頭部のリンパ節転移が疑われたため血管造影を施行したところ肝S4と膵頭部領域に腫瘍濃染を認めた.膵頭部の腫瘍濃染は肝動脈造影下CT(CT during hepatic arteriography;CTHA)にて膵頭リンパ節と考えられた.時系列でみても明らかに増大傾向を認め,HCCのリンパ節転移と診断した.肝S4のHCCに対してはTACE,RFAを施行,転移リンパ節に対しては超音波内視鏡(EUS)下に経十二指腸的にエタノール注入療法を行った.治療後8カ月のCTでは転移リンパ節の著明な縮小効果を認めた.当施設ではHCCのリンパ節転移に対するエタノール注入療法を4例行っているが,いずれも良好な治療効果が得られている.HCCのリンパ節転移に対して,エタノール注入療法が治療法の一つになりえる可能性が示唆されたと共にEUSがエタノール注入療法の手段として有効と考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.52.671