胃全摘術後のイレウス管留置に起因した腸重積の1例

症例は73歳, 男性. 1999年, 胃癌にて胃全摘術を受けた既往がある. 2004年5月, 全身倦怠感から近医を受診し肺炎を指摘され, 6月2日当院内科入院. 入院後イレウスと間質性肺炎を指摘された. 6月9日, イレウスの悪化がありイレウス管挿入し改善が認められた. しかし6月12日, 強い腹痛と上腹部に可動性のある腫瘤を触知するようになった. 腹部CT検査にて腸重積症と診断し, 緊急手術を行った. 空腸に約20cmにわたる順行性の重積があり, 用手整復は不可能で空腸部分切除術を施行した. イレウス管留置により発症した腸重積57例のうち胃切除症例が19例と多いものの, Billroth I...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 10; pp. 2512 - 2516
Main Authors 山本, 澄治, 多田, 明博, 佐伯, 英行, 福原, 哲治, 花岡, 俊仁, 小林, 一泰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2007
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.68.2512

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Summary:症例は73歳, 男性. 1999年, 胃癌にて胃全摘術を受けた既往がある. 2004年5月, 全身倦怠感から近医を受診し肺炎を指摘され, 6月2日当院内科入院. 入院後イレウスと間質性肺炎を指摘された. 6月9日, イレウスの悪化がありイレウス管挿入し改善が認められた. しかし6月12日, 強い腹痛と上腹部に可動性のある腫瘤を触知するようになった. 腹部CT検査にて腸重積症と診断し, 緊急手術を行った. 空腸に約20cmにわたる順行性の重積があり, 用手整復は不可能で空腸部分切除術を施行した. イレウス管留置により発症した腸重積57例のうち胃切除症例が19例と多いものの, Billroth I法再建後が12例と最多で胃全摘後は3例であった. 胃全摘後症例では残胃が無くループをつくる余裕が少ないため腸重積を発症し易いが, 上部小腸に可動性が保たれており, Billroth I法に比べ発症が少ないものと考えられる. 胃全摘後症例のイレウス管留置には注意が心要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.68.2512