閉塞性黄疸をきたし塩酸ミノサイクリン注入療法が有効であった巨大肝嚢胞の1例

症例は64歳,女性.皮膚掻痒感,全身倦怠感を主訴に当院初診となった.T. Bil 15.1と高度の黄疸があり,腹部CT検査で肝内胆管の拡張と肝S4に8cm大の嚢胞を認めた.ERCP,PTCD造影では左右肝管から総胆管にかけてなだらかな圧排,狭窄像があり,血清CA19-9は20,600U/mlと著明な上昇を示したが,画像所見から良性の単純性肝嚢胞と診断した。嚢胞を穿刺しドレナージ後に,塩酸ミノサイクリンの注入療法を行ったところ,嚢胞は縮小し,黄疸も改善した.特に合併症や副作用はなく退院し,現在外来で経過観察中である. 良性非寄生虫性巨大肝嚢胞が原因で閉塞性黄疸を呈することは極めて稀であり,今回わ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 10; pp. 3080 - 3085
Main Authors 星川, 竜彦, 小林, 健二, 篠崎, 浩治, 加瀬, 建一, 尾形, 佳郎, 鹿股, 宏之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.3080

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Summary:症例は64歳,女性.皮膚掻痒感,全身倦怠感を主訴に当院初診となった.T. Bil 15.1と高度の黄疸があり,腹部CT検査で肝内胆管の拡張と肝S4に8cm大の嚢胞を認めた.ERCP,PTCD造影では左右肝管から総胆管にかけてなだらかな圧排,狭窄像があり,血清CA19-9は20,600U/mlと著明な上昇を示したが,画像所見から良性の単純性肝嚢胞と診断した。嚢胞を穿刺しドレナージ後に,塩酸ミノサイクリンの注入療法を行ったところ,嚢胞は縮小し,黄疸も改善した.特に合併症や副作用はなく退院し,現在外来で経過観察中である. 良性非寄生虫性巨大肝嚢胞が原因で閉塞性黄疸を呈することは極めて稀であり,今回われわれは,巨大肝嚢胞による閉塞性黄疸に対して,塩酸ミノサイクリンを注入し良好な結果を得た1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.3080