抗human T-lymphotropic virus type-1(HTLV-1)抗体陰性の胃原発T細胞リンパ腫の1例

稀有な抗 human T-lymphotropicvirustype-1(HTLV-1) 抗体陰性の原発性胃T細胞リンパ腫の1例を経験したので,本邦の17報告例とともに検討した.症例は67歳,男性.上腹部不快を訴え来院した.胃精査で胃体~前庭に2型の腫瘤を認め,生検で悪性リンパ腫と診断した.CTで局所リンパ節の腫大を認めた.抗HTLV-1抗体は陰性であった. 胃全摘, 脾摘, 肝部分切除, D 3 郭清を行てった. 組織学的にはびまん, 混合型,表面形質はCD20-,CD3+で,CD4+,CD8-のT細胞リンパ腫であった.術後6カ月および11カ月に頸部リンパ節に再発したがCHOPおよび次世代多...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 2; pp. 381 - 386
Main Authors 鈴木, 敬二, 小柳, 泰久, 須田, 健, 鈴木, 和信, 芹沢, 博美, 伊藤, 一成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2001
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.62.2_381

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Summary:稀有な抗 human T-lymphotropicvirustype-1(HTLV-1) 抗体陰性の原発性胃T細胞リンパ腫の1例を経験したので,本邦の17報告例とともに検討した.症例は67歳,男性.上腹部不快を訴え来院した.胃精査で胃体~前庭に2型の腫瘤を認め,生検で悪性リンパ腫と診断した.CTで局所リンパ節の腫大を認めた.抗HTLV-1抗体は陰性であった. 胃全摘, 脾摘, 肝部分切除, D 3 郭清を行てった. 組織学的にはびまん, 混合型,表面形質はCD20-,CD3+で,CD4+,CD8-のT細胞リンパ腫であった.術後6カ月および11カ月に頸部リンパ節に再発したがCHOPおよび次世代多剤併用化学療法でそれぞれ寛解して,術後22カ月生存中である. 症例は報告例と対比すると,ほぼ平均的な臨床病理学的所見を示していた.報告群には病期IIE(Ann-Arbor),胃切除例が多いが,6,12,24カ月生存率はそれぞれ85.7,62.9,62.9%で,この病期では胃切除,術後化学療法が治療選択と思われた.本群の治療指針,予後判定因子などを明確にするために,さらに症例の集積が必要であろう.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.2_381