腸管嚢胞様気腫症が先進部となった腸重積の1例

症例は16歳,男性.右下腹部から臍下部の腹痛を主訴に救急搬送された.他院で急性虫垂炎と診断され保存療法を施行され退院した翌日であった.腹部CTでtarget signを認め腸重積と診断した.短期間に症状を繰り返しているため,手術の方針とした.術中所見では盲腸が上行結腸に重積し,解除すると盲腸から上行結腸に軟らかい腫瘤を触知した.これが腸重積の原因と判断し回盲部切除術を施行した.切除標本では粘膜下に気腫性嚢胞を多数認め,腸管嚢胞様気腫症と診断した.病理組織学的には嚢胞壁内に異物巨細胞を認めた.腸重積を合併した腸管嚢胞様気腫症の本邦論文報告例は自験例を含め9例のみである.若干の文献的考察を加えて報...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 11; pp. 2866 - 2870
Main Authors 野口, 芳一, 田上, 修司, 村田, 一平, 須田, 耕一, 小林, ゆかり
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.72.2866

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Summary:症例は16歳,男性.右下腹部から臍下部の腹痛を主訴に救急搬送された.他院で急性虫垂炎と診断され保存療法を施行され退院した翌日であった.腹部CTでtarget signを認め腸重積と診断した.短期間に症状を繰り返しているため,手術の方針とした.術中所見では盲腸が上行結腸に重積し,解除すると盲腸から上行結腸に軟らかい腫瘤を触知した.これが腸重積の原因と判断し回盲部切除術を施行した.切除標本では粘膜下に気腫性嚢胞を多数認め,腸管嚢胞様気腫症と診断した.病理組織学的には嚢胞壁内に異物巨細胞を認めた.腸重積を合併した腸管嚢胞様気腫症の本邦論文報告例は自験例を含め9例のみである.若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.2866