転移性肺腫瘍を疑った結節性肺アミロイドーシスの1例

症例は73歳女性.1998年10月左乳癌手術.2007年2月胸部CT検査で右中葉,下葉に1cm大の結節を3個認めた.血液検査では異常所見を認めなかった.しかし転移性肺腫瘍を否定できないと考え,確定診断のため胸腔鏡補助下手術を行った.術中所見では右中葉,下葉に弾性硬の腫瘤を触知し,3ヵ所肺部分切除を行った.術中迅速病理検査の結果では明らかな悪性所見はなかった.切除標本肉眼的所見では腫瘤は最大1.3×1.0cm,割面は灰白色,周囲との境界は明瞭だった.他の2個も同様の所見であった.病理組織学的検査ではアミロイドーシスであった.以上の所見より,本病変は肺アミロイドーシスと診断された.本症はまれな疾患...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 22; no. 6; pp. 886 - 889
Main Authors 古川, 公之, 竹尾, 正彦, 諏澤, 憲, 山本, 満雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2008
Subjects
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.22.886

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Summary:症例は73歳女性.1998年10月左乳癌手術.2007年2月胸部CT検査で右中葉,下葉に1cm大の結節を3個認めた.血液検査では異常所見を認めなかった.しかし転移性肺腫瘍を否定できないと考え,確定診断のため胸腔鏡補助下手術を行った.術中所見では右中葉,下葉に弾性硬の腫瘤を触知し,3ヵ所肺部分切除を行った.術中迅速病理検査の結果では明らかな悪性所見はなかった.切除標本肉眼的所見では腫瘤は最大1.3×1.0cm,割面は灰白色,周囲との境界は明瞭だった.他の2個も同様の所見であった.病理組織学的検査ではアミロイドーシスであった.以上の所見より,本病変は肺アミロイドーシスと診断された.本症はまれな疾患で,結節影として検診や他疾患治療中に偶然発見されることが多い.CT検査の普及により,今後遭遇する機会が増える可能性があり,肺癌や転移性肺腫瘍などとの鑑別上,考慮しておく必要がある.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.22.886