透析患者に発症した特発性小腸穿孔の1例
透析患者に発症した特発性小腸穿孔の1例を経験したので報告する.症例は64歳,女性.5日前から持続する腹痛を主訴に来院した.既往歴にネフローゼ症候群,慢性腎不全,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:以下SLEと略記)がある.腹部CT検査で腹腔内遊離ガス像と多量の腹水を認めたため,消化管穿孔による腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.Treitz靱帯より200cm肛側の小腸に約5mm大の穿孔が認められ,小腸部分切除術を行った.病理組織学的所見では穿孔部で粘膜,筋層,漿膜が完全に断裂していたが,慢性炎症所見は認めなかった.穿孔の原因を特定する所見がなく特発性...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 12; pp. 3164 - 3167 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2008
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.69.3164 |
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Summary: | 透析患者に発症した特発性小腸穿孔の1例を経験したので報告する.症例は64歳,女性.5日前から持続する腹痛を主訴に来院した.既往歴にネフローゼ症候群,慢性腎不全,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:以下SLEと略記)がある.腹部CT検査で腹腔内遊離ガス像と多量の腹水を認めたため,消化管穿孔による腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.Treitz靱帯より200cm肛側の小腸に約5mm大の穿孔が認められ,小腸部分切除術を行った.病理組織学的所見では穿孔部で粘膜,筋層,漿膜が完全に断裂していたが,慢性炎症所見は認めなかった.穿孔の原因を特定する所見がなく特発性小腸穿孔と診断した.術後,縫合不全を合併し再手術を行ったが,その後軽快し初回手術後73日目に退院した. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.69.3164 |