2 大分県におけるブユ成虫のフィラリア幼虫自然感染 : 第3期幼虫の鑑別(第58日本衛生動物学会南日本支部大会講演要旨)

われわれはこれまでに, 大分県における動物寄生性オンコセルカの人体感染例の起因種がイノシシ寄生性Onchocerca dewittei japonicaであること, また感染実験により本種のミクロフィラリアが吸血昆虫ブユの体内で第3期幼虫まで生育することを明らかにした. 今回は, ブユが実際に自然界で媒介者になっているかどうかを検討するために, 大分県におけるブユ成虫のフィラリア幼虫の自然感染を調査し, フィラリア幼虫の鑑別を試みた. 2006年5月から12月に, 大分県大分市で, 車の排気ガスに誘引されたブユ雌成虫を捕虫網で採集した. 採集されたブユを個別に砂糖水を与えながら25℃で10日間...

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Published inMedical Entomology and Zoology Vol. 60; no. 2; p. 163
Main Authors 福田, 昌子, 青木, 千春, 高岡, 宏行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生動物学会 2009
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ISSN0424-7086
2185-5609
DOI10.7601/mez.60.163_3

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Summary:われわれはこれまでに, 大分県における動物寄生性オンコセルカの人体感染例の起因種がイノシシ寄生性Onchocerca dewittei japonicaであること, また感染実験により本種のミクロフィラリアが吸血昆虫ブユの体内で第3期幼虫まで生育することを明らかにした. 今回は, ブユが実際に自然界で媒介者になっているかどうかを検討するために, 大分県におけるブユ成虫のフィラリア幼虫の自然感染を調査し, フィラリア幼虫の鑑別を試みた. 2006年5月から12月に, 大分県大分市で, 車の排気ガスに誘引されたブユ雌成虫を捕虫網で採集した. 採集されたブユを個別に砂糖水を与えながら25℃で10日間飼育後, 生理食塩水中で解剖し, フィラリア幼虫の感染の有無を調べた. 検出したフィラリアを計測後, 一部の第3期幼虫のDNAを抽出し, ミトコンドリアCO1遺伝子の一部領域の塩基配列を解析した. その結果, 第3期幼虫の形態的特徴から少なくとも2種類, CO1遺伝子の塩基配列から少なくとも3種類のフィラリア幼虫が自然感染していることが示唆された. 既知の動物寄生性フィラリア幼虫と比較した結果, そのうち1種類はO.dewittei japonicaであると思われた.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.60.163_3