発酵リキッド飼料を給与した豚ふん便の16s rDNA配列を用いた菌叢解析

食品残さを原料にした発酵リキッド飼料を豚に給与することで,ふん便中のFirmicutesの存在比率が上昇した。試験区のみで存在比率が上昇した菌については,Eubacterium tortuosumの近縁種であることは分かったが,相同性が86%と低かったため菌名の特定は出来なかった。また,この菌叢変化が豚に与える影響については,増体成績が良好であったこと,下痢などの体調不良を起こさなかったことなどから,少なくとも豚にとって害になるような菌叢変化ではないと考えられた。 一方,スターターとして添加したLactobacillus plantarum A305は,胃酸耐性の不足から,豚腸内への定着が不十...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本養豚学会誌 Vol. 44; no. 2; pp. 40 - 50
Main Authors 中野, 公隆, 土屋, 義信, 角川, 幸治, 井尻, 哲, 山内, 慎也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本養豚学会 2007
Online AccessGet full text
ISSN0913-882X
1881-655X
DOI10.5938/youton.44.40

Cover

More Information
Summary:食品残さを原料にした発酵リキッド飼料を豚に給与することで,ふん便中のFirmicutesの存在比率が上昇した。試験区のみで存在比率が上昇した菌については,Eubacterium tortuosumの近縁種であることは分かったが,相同性が86%と低かったため菌名の特定は出来なかった。また,この菌叢変化が豚に与える影響については,増体成績が良好であったこと,下痢などの体調不良を起こさなかったことなどから,少なくとも豚にとって害になるような菌叢変化ではないと考えられた。 一方,スターターとして添加したLactobacillus plantarum A305は,胃酸耐性の不足から,豚腸内への定着が不十分であることが分かった。このため,試験区と対照区の間で,期待したほどのプロバイオティック効果が出なかったものと考えられた。しかし,菌叢の変化自体は起こっていたため,乳酸菌の死菌体もしくは乳酸発酵時の代謝物の影響によって菌叢が変化したものと考えられた。
ISSN:0913-882X
1881-655X
DOI:10.5938/youton.44.40