術中神経モニタリングは術後神経合併症を予測できるか

当院で2017年10月からの1年間に実施された術中神経モニタリング181例を後ろ向きに調査し, 術中神経モニタリングが術後神経合併症を予測できるか検討を行った. 閉創時にアラームポイントを超える波形変化を認めたものを波形変化(+), 術後に運動障害及び聴覚障害の出現したものを神経合併症(+)とし, 振幅50%低下をカットオフ値とした場合, 結果は感度0.80, 特異度0.95と良好であった. 波形変化があるにも関わらず神経合併症を認めなかった偽陽性の9例中5例はMEPとSEPが同時にモニタリングされ, うち4例がMEPのみ波形変化を認め, SEPは明らかな変化を認めなかった. MEPに変化を認...

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Published in天理医学紀要 Vol. 23; no. 1; pp. 46 - 47
Main Authors 花尻, 康人, 小林, 昌弘, 松尾, 収二, 小阪, 慎, 嶋田, 昌司, 大林, 準, 北川, 孝道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所 25.12.2020
天理よろづ相談所医学研究所
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ISSN1344-1817
2187-2244
DOI10.12936/tenrikiyo.23-007

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Summary:当院で2017年10月からの1年間に実施された術中神経モニタリング181例を後ろ向きに調査し, 術中神経モニタリングが術後神経合併症を予測できるか検討を行った. 閉創時にアラームポイントを超える波形変化を認めたものを波形変化(+), 術後に運動障害及び聴覚障害の出現したものを神経合併症(+)とし, 振幅50%低下をカットオフ値とした場合, 結果は感度0.80, 特異度0.95と良好であった. 波形変化があるにも関わらず神経合併症を認めなかった偽陽性の9例中5例はMEPとSEPが同時にモニタリングされ, うち4例がMEPのみ波形変化を認め, SEPは明らかな変化を認めなかった. MEPに変化を認める場合でも, SEPに変化を認めない場合は, 神経学的に予後は良好である場合が多く, MEPとSEPのmultimodalityによるモニタリングが有用であった. また, 偽陽性の残り4例はSEP単独でモニタリングされ, うち3例はSEPの振幅低下が70%以内であった. 術後神経合併症の予防には振幅50%で注意喚起, 70%低下で警告といった段階的な警告の有用性が示唆された. 波形変化がなかったが神経合併症を認めた偽陰性の1例は頸椎後縦靭帯骨化症で, 術直後は軽度の筋力低下であったが次第に悪化を認め, C5麻痺を生じたと考えられた. 予測が難しいC5麻痺については, 今後さらなる検討が必要である.
ISSN:1344-1817
2187-2244
DOI:10.12936/tenrikiyo.23-007