関東育種基本区におけるスギ精英樹クローンの立木材質の評価

大久保育種素材保存園に植栽されている14年生のスギ精英樹のつぎ木クローン,745クローン2149個体を対象に胸高直径,応力波伝播速度およびピロディン陥入量を測定した。より正確にこれら形質を評価するため,すべての調査した個体についてジェノタイピングを行った。胸高直径,応力波伝播速度およびピロディン陥入量は,有意なクローン間差が認められた。応力波伝播速度およびピロディン陥入量の平均値や変動係数は,これまで報告されている値と大きな差は認められなかった。胸高直径,応力波伝播速度およびピロディン陥入量の相関関係は,総じて低い値を示し,成長形質と材質形質がともに優れたスギの創出が可能であることが示唆された...

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Published in木材学会誌 Vol. 57; no. 5; pp. 256 - 264
Main Authors 渡辺, 敦史, 井城, 泰一, 宮本, 尚子, 三嶋, 賢太郎, 平岡, 裕一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本木材学会 2011
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ISSN0021-4795
1880-7577
DOI10.2488/jwrs.57.256

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Summary:大久保育種素材保存園に植栽されている14年生のスギ精英樹のつぎ木クローン,745クローン2149個体を対象に胸高直径,応力波伝播速度およびピロディン陥入量を測定した。より正確にこれら形質を評価するため,すべての調査した個体についてジェノタイピングを行った。胸高直径,応力波伝播速度およびピロディン陥入量は,有意なクローン間差が認められた。応力波伝播速度およびピロディン陥入量の平均値や変動係数は,これまで報告されている値と大きな差は認められなかった。胸高直径,応力波伝播速度およびピロディン陥入量の相関関係は,総じて低い値を示し,成長形質と材質形質がともに優れたスギの創出が可能であることが示唆された。大久保育種素材保存園と3つの検定林との間に共通して植栽されているクローンを対象に,相関関係を検討した結果,応力波伝播速度およびピロディン陥入量ともに遺伝子型と環境の交互作用が小さいことが示され,同時に,比較的早期に選抜することが可能であることが示唆された。
ISSN:0021-4795
1880-7577
DOI:10.2488/jwrs.57.256