部員主体の運動部活動の実現可能性 高校野球における選手選考を事例にして

「I 緒言」「1. 「運動部活動のパラドックス」と選手選考」 運動部活動は, 部員の自主的, 自発的な参加により行われるスポーツ活動であり, また学校教育の一端を担う教育活動として位置づけられている. そのため, 指導者の監督のもと個人や集団としての目的や目標を持ち切磋琢磨することを通じて人間関係の大切さ, 組織を機能させることの重要性を学ぶことが期待されている(文部科学省, 2017a). 他方, その取組に関しては「勝利を目指すこと, 今以上の技能の水準や記録に挑戦することは自然なこと」(スポーツ庁, 2018a, p.12)と記載されているように勝利追求を本質とする競技スポーツとしての側...

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Published in体育学研究 Vol. 67; pp. 343 - 360
Main Authors 岡田, 悠佑, 深見, 英一郎, 井上, 一彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会 2022
日本体育・スポーツ・健康学会
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ISSN0484-6710
1881-7718
DOI10.5432/jjpehss.21007

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Summary:「I 緒言」「1. 「運動部活動のパラドックス」と選手選考」 運動部活動は, 部員の自主的, 自発的な参加により行われるスポーツ活動であり, また学校教育の一端を担う教育活動として位置づけられている. そのため, 指導者の監督のもと個人や集団としての目的や目標を持ち切磋琢磨することを通じて人間関係の大切さ, 組織を機能させることの重要性を学ぶことが期待されている(文部科学省, 2017a). 他方, その取組に関しては「勝利を目指すこと, 今以上の技能の水準や記録に挑戦することは自然なこと」(スポーツ庁, 2018a, p.12)と記載されているように勝利追求を本質とする競技スポーツとしての側面も有している. これまで, 運動部活動は多くのスポーツ種目の普及や競技力向上に貢献してきた歴史があり(中澤, 2011), 現在でも連日長時間の練習を行っている強豪校の実態等が報告されている. このような運動部活動の教育と競技という2つの側面は, 実際の指導場面においてしばしば両立が困難な状況に陥る(小谷・中込, 2003, 2008 ; 久保, 2002 ; 森田, 1993).
ISSN:0484-6710
1881-7718
DOI:10.5432/jjpehss.21007