11.衛生害虫の伝統的な対応法 : (12)ゴキブリと"油虫"の関係(第55回日本衛生動物学会東日本支部大会講演要旨)

ゴキブリは, 昭和40年頃まで俗に油虫と呼ばれていた. 現代の昆虫書はその由来を脂ぎった色調からと記しているが, 根拠が必ずしも明確でない. 物類称呼(1775年)は, 「あぶらむし」「ごきくらいむし」「あまめ」等と記す. 江戸時代の油虫は, 無銭飲食者等を指したようで, これが転じて嫌な虫類を総称して油虫と称したものと思われる. アリマキも同様である. 油虫からゴキブリになったのは, 昭和40年過ぎのテレビによる宣伝効果の影響である. ゴキブリのトラップ類を振返る. 明治時代のバタートラップは海外由来の捕獲法である. ゴキブリトラップの始まりは, 大正時代, 河鹿蛙の飼育のため, エサのヤマ...

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Published inMedical Entomology and Zoology Vol. 55; no. 2; p. 140
Main Authors 栗原, 毅, 秦, 和壽
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生動物学会 2004
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ISSN0424-7086
2185-5609
DOI10.7601/mez.55.140_3

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Summary:ゴキブリは, 昭和40年頃まで俗に油虫と呼ばれていた. 現代の昆虫書はその由来を脂ぎった色調からと記しているが, 根拠が必ずしも明確でない. 物類称呼(1775年)は, 「あぶらむし」「ごきくらいむし」「あまめ」等と記す. 江戸時代の油虫は, 無銭飲食者等を指したようで, これが転じて嫌な虫類を総称して油虫と称したものと思われる. アリマキも同様である. 油虫からゴキブリになったのは, 昭和40年過ぎのテレビによる宣伝効果の影響である. ゴキブリのトラップ類を振返る. 明治時代のバタートラップは海外由来の捕獲法である. ゴキブリトラップの始まりは, 大正時代, 河鹿蛙の飼育のため, エサのヤマトゴキブリを捕獲する目的で金網製のトラップが使用された. これ以後金網製のトラップが数多く考案されている. 昭和初期のトラップを2, 3示す. 全国的に衛生害虫として問題となったのは昭和40年頃からで, スプレー式殺虫剤のほか同40年代後半からは誘引して捕獲するプラスチック製のトラップが市販される. 50年代後半からは粘着紙が主琉となっている.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.55.140_3