膵癌の早期診断を目指したスクリーニング

予後が不良とされる膵癌の治療成績の改善には早期診断が必須であるが,膵癌に対する検診の方法と効果は検証されておらず,一般集団に対するスクリーニングは有病率の低さ,費用対効果の面から推奨されていない.一方で,2006年に膵癌診療ガイドラインが発刊されリスクファクターが発出されて以降,国内各地で危険因子に着目し病診連携を活用した膵癌早期診断の取り組みが開始されており,一部の地域からは,早期診断例の増加,外科的切除率および生存率の改善などの成果が報告されている.近年,ステージ0,Iを集積した多施設共同研究の成績から,発見契機となる臨床徴候や画像所見の特徴が明らかになりつつあり,家族性膵癌の登録および有...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 112; no. 2; pp. 250 - 256
Main Authors 池田, 守登, 清水, 晃典, 津島, 健, 田妻, 進, 花田, 敬士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 10.02.2023
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.112.250

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Summary:予後が不良とされる膵癌の治療成績の改善には早期診断が必須であるが,膵癌に対する検診の方法と効果は検証されておらず,一般集団に対するスクリーニングは有病率の低さ,費用対効果の面から推奨されていない.一方で,2006年に膵癌診療ガイドラインが発刊されリスクファクターが発出されて以降,国内各地で危険因子に着目し病診連携を活用した膵癌早期診断の取り組みが開始されており,一部の地域からは,早期診断例の増加,外科的切除率および生存率の改善などの成果が報告されている.近年,ステージ0,Iを集積した多施設共同研究の成績から,発見契機となる臨床徴候や画像所見の特徴が明らかになりつつあり,家族性膵癌の登録および有効な経過観察法の確立を目指した前向き研究なども開始されている.さらに,膵癌の早期診断を目的とした血液・十二指腸液などを用いた非侵襲的なスクリーニング法の研究が進捗しており今後の成果が期待されている.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.112.250