日本人妊産婦における葉酸摂取量と葉酸サプリメント利用の関連

目的:近年妊産婦の葉酸サプリメント利用率は上昇しているという報告があり,妊産婦の葉酸摂取量にはサプリメントが大きく寄与していることが考えられる.そこで本研究では日本人妊産婦を対象として葉酸摂取量に対するサプリメントの寄与率を明らかにすること,および食事からの葉酸摂取量と葉酸サプリメント利用状況の関連について明らかにすることを目的とする.方法:対象者は国立成育医療センターを受診していた妊娠初期の妊婦194名,調査実施期間は平成23年1月~12月であった.対象者には食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いた食事調査を実施し過去2か月間の習慣的な葉酸摂取量を算出した.食習慣および生活習慣に関するアンケート...

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Published in人間生活文化研究 Vol. 2016; no. 26; pp. 529 - 534
Main Authors 小林, 実夏, 中山, 惠理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 大妻女子大学人間生活文化研究所 2016
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ISSN2187-1930
DOI10.9748/hcs.2016.529

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Summary:目的:近年妊産婦の葉酸サプリメント利用率は上昇しているという報告があり,妊産婦の葉酸摂取量にはサプリメントが大きく寄与していることが考えられる.そこで本研究では日本人妊産婦を対象として葉酸摂取量に対するサプリメントの寄与率を明らかにすること,および食事からの葉酸摂取量と葉酸サプリメント利用状況の関連について明らかにすることを目的とする.方法:対象者は国立成育医療センターを受診していた妊娠初期の妊婦194名,調査実施期間は平成23年1月~12月であった.対象者には食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いた食事調査を実施し過去2か月間の習慣的な葉酸摂取量を算出した.食習慣および生活習慣に関するアンケートを実施し,得られた回答からサプリメントからの葉酸摂取量を算出した.食事からの葉酸摂取量により対象者を四分位に分け,各群のサプリメント利用率,サプリメントからの葉酸摂取量,総葉酸摂取量に対するサプリメントの寄与率を算出した.結果および考察:総葉酸摂取量に対するサプリメントの寄与率の平均値は42.2%±28.2%と非常に高く,サプリメントを考慮せずに妊産婦の食事調査をした場合著しい過小評価になることが考えられる.食事からの葉酸摂取量により分けた4群ではサプリメントからの葉酸摂取量に有意な差はなく,総葉酸摂取量に対するサプリメントの寄与率とサプリメント利用者の割合に有意な差がみられた.食事からの葉酸摂取量が最も多い群において,サプリメント利用率,寄与率共に低い傾向にあった.結論:日本人妊産婦の葉酸摂取量評価を適切に行うためには,サプリメントを考慮することが重要である.また日本人妊産婦は食事からの葉酸摂取量の違いにより,サプリメント利用状況が異なる可能性が示唆された.
ISSN:2187-1930
DOI:10.9748/hcs.2016.529