4 ベトナム全土における古タイヤに発生する蚊類の生態調査(4) : 幼虫発生源としての古タイヤの重要性(第58日本衛生動物学会南日本支部大会講演要旨)

2006-2008年にベトナムで行った古タイヤに発生する蚊の調査により, 主な発生蚊種はネッタイシマカ, ヒトスジシマカおよびネッタイイエカであり, その浸襲度は地理的(南北軸や海山軸)に大きく異なることが明らかになった. 古タイヤは, ベトナム全土にわたってみられ, 商業目的で国道沿いの家屋周辺に長期間保管されるケースがほとんどであった. 中部のニャチャン市以南に点在する古タイヤにたまる水の水質調査(pH, PO4, COD, NO2, NH4)を行ったところ, 地理的変異による水質の違いはほとんどみられず, 古タイヤの水質はどこにいっても比較的同じであることがわかった. 家屋周辺で長期(平...

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Published inMedical Entomology and Zoology Vol. 60; no. 2; p. 164
Main Authors 高村, 典子, 高木, 正洋, 大田黒, 嵩伸, 比嘉, 由紀子, 川田, 均
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生動物学会 2009
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ISSN0424-7086
2185-5609
DOI10.7601/mez.60.164_2

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Summary:2006-2008年にベトナムで行った古タイヤに発生する蚊の調査により, 主な発生蚊種はネッタイシマカ, ヒトスジシマカおよびネッタイイエカであり, その浸襲度は地理的(南北軸や海山軸)に大きく異なることが明らかになった. 古タイヤは, ベトナム全土にわたってみられ, 商業目的で国道沿いの家屋周辺に長期間保管されるケースがほとんどであった. 中部のニャチャン市以南に点在する古タイヤにたまる水の水質調査(pH, PO4, COD, NO2, NH4)を行ったところ, 地理的変異による水質の違いはほとんどみられず, 古タイヤの水質はどこにいっても比較的同じであることがわかった. 家屋周辺で長期(平均約4ヶ月)にわたり一定の水質の水溜りが保持されるため, 古タイヤはベトナムにおけるデング熱媒介蚊の発生源として重要であると考えられた. また, 地域を問わず同じ条件で蚊の幼虫調査ができることから, 古タイヤを調査対象とすることで, 迅速かつ少人数で遂行できるデング熱媒介蚊の分布調査法の確立が可能であることが示唆された.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.60.164_2