失神発作を初発症状とした上咽頭癌の1症例

頭頸部癌は頸部リンパ節転移が多く認められ,この転移巣による物理的な頸動脈圧迫で失神発作(頸動脈洞過敏症候群:Carotid Sinus Hypersensitivity Syndrome以下CSHS)を起こすことは報告されているが,ほとんどは末期癌患者であり初発症状として失神発作を起こした症例は少ない。 今回,われわれは頻回の失神発作を初発症状とした,上咽頭癌の頸部リンパ節転移の症例を経験した。術前にペースメーカーを挿入していたため,手術治療を選択し頸部郭清術を施行したところ失神発作は消失した。 CSHSは,頸動脈反射が何らかの原因で過敏反応を示す場合をいう。頸部リンパ節転移が原因のCSHSの...

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Published in頭頸部外科 Vol. 21; no. 3; pp. 241 - 245
Main Authors 五味渕, 寛, 嶋根, 俊和, 三邉, 武幸, 池田, 賢一郎, 小林, 斉, 卯月, 彩, 林, 武史, 秋山, 理央
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2012
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.21.241

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Summary:頭頸部癌は頸部リンパ節転移が多く認められ,この転移巣による物理的な頸動脈圧迫で失神発作(頸動脈洞過敏症候群:Carotid Sinus Hypersensitivity Syndrome以下CSHS)を起こすことは報告されているが,ほとんどは末期癌患者であり初発症状として失神発作を起こした症例は少ない。 今回,われわれは頻回の失神発作を初発症状とした,上咽頭癌の頸部リンパ節転移の症例を経験した。術前にペースメーカーを挿入していたため,手術治療を選択し頸部郭清術を施行したところ失神発作は消失した。 CSHSは,頸動脈反射が何らかの原因で過敏反応を示す場合をいう。頸部リンパ節転移が原因のCSHSの治療には,手術・化学放射線同時併用療法・薬物療法などが挙げられる。頸部リンパ節転移を認める症例は進行癌が多いため,治療の選択肢を広げるためにもペースメーカー挿入を積極的に行うべきであると考えられた。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.21.241