薬物治療に難渋した心肺停止蘇生後の低酸素脳症におけるparoxysmal sympathetic hyperactivityの一例

心肺停止蘇生後にparoxysmal sympathetic hyperactivity(PSH)を呈し,治療に難渋した一例を経験した。症例は33歳,男性。数日前からの全身倦怠感を主訴に受診した。著しい脱水と腎障害,横紋筋融解症,高カリウム血症を呈しており,来院後心肺停止状態となった。心肺蘇生法により自己心拍再開し,低体温療法を施行したが,低酸素脳症に至った。第7病日より,刺激に対し発作性に頻脈,高血圧,頻呼吸,発汗,高熱,筋緊張が見られるようになり,PSHと診断した。治療に難渋し,長期にわたる全身管理を要したが,ラベタロール,クロナゼパム,ガバペンチン,ブロモクリプチン,ダントロレンによる薬...

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Published in日本集中治療医学会雑誌 Vol. 25; no. 2; pp. 129 - 133
Main Authors 小島, 直樹, 稲川, 博司, 佐々木, 庸郎, 澄田, 奏子, 山口, 和将, 岡田, 保誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本集中治療医学会 2018
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ISSN1340-7988
1882-966X
DOI10.3918/jsicm.25_129

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Summary:心肺停止蘇生後にparoxysmal sympathetic hyperactivity(PSH)を呈し,治療に難渋した一例を経験した。症例は33歳,男性。数日前からの全身倦怠感を主訴に受診した。著しい脱水と腎障害,横紋筋融解症,高カリウム血症を呈しており,来院後心肺停止状態となった。心肺蘇生法により自己心拍再開し,低体温療法を施行したが,低酸素脳症に至った。第7病日より,刺激に対し発作性に頻脈,高血圧,頻呼吸,発汗,高熱,筋緊張が見られるようになり,PSHと診断した。治療に難渋し,長期にわたる全身管理を要したが,ラベタロール,クロナゼパム,ガバペンチン,ブロモクリプチン,ダントロレンによる薬物療法を行い発作の頻度は減少した。本邦におけるPSHの報告例は数少なく,特に低酸素脳症における報告例はほとんどない。頭部外傷のみならず,低酸素性脳症においても,PSHの発症を考慮に入れる必要がある。
ISSN:1340-7988
1882-966X
DOI:10.3918/jsicm.25_129