医療系大学に在籍する大学生における災害ボランティアへの意識とその要因の解明
要旨:将来起こり得る大災害に対応するためには,自助・共助・公助のバランスのよい災害対応が重要である。このうち共助については,災害後の復旧・支援・ボランティア活動(被災後の避難所での支援や家屋の片付け,仮設住宅等における保健福祉活動の支援など)に関与する,人材の拡充が必要である。本研究では,医療系大学に在籍する大学生における,将来発生する災害時のボランティア活動への従事意図と,それに影響を与える要因を,学生の背景別に明らかにすることを目的とした。医療系大学に在籍する学生(看護学部,薬学部,健康医療科学部,心理学部)778名を対象とした。対象者から同意を得たのち,無記名自記式調査票を用いてアンケー...
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Published in | 福島医学雑誌 Vol. 75; no. 1; pp. 1 - 12 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
福島医学会
2025
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0016-2582 2436-7826 |
DOI | 10.5387/fmedj.75.1_1 |
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Summary: | 要旨:将来起こり得る大災害に対応するためには,自助・共助・公助のバランスのよい災害対応が重要である。このうち共助については,災害後の復旧・支援・ボランティア活動(被災後の避難所での支援や家屋の片付け,仮設住宅等における保健福祉活動の支援など)に関与する,人材の拡充が必要である。本研究では,医療系大学に在籍する大学生における,将来発生する災害時のボランティア活動への従事意図と,それに影響を与える要因を,学生の背景別に明らかにすることを目的とした。医療系大学に在籍する学生(看護学部,薬学部,健康医療科学部,心理学部)778名を対象とした。対象者から同意を得たのち,無記名自記式調査票を用いてアンケート調査を行い,結果を多変量解析した。本研究は福島県立医科大学倫理委員会の承認を受けて行った。合計605名から回答を得た。ボランティア活動に対する従事意図があると回答した者は全体の405名(74.9%)であった。多変量解析の結果,全学部生を対象とした解析では,ボランティア活動経験,性別(女性),講習会への参加意思,東日本大震災への関心,看護学部,健康医療科学部,年齢,がボランティア活動への従事意図に独立して有意に影響を与える因子であった。学部別の解析では,看護学部は「東日本大震災への関心」,「性別(女性)」が,薬学部は「講習会への参加意思」が,健康医療科学部は「保障や手当」,「救助の責任(行政)」,「ボランティア活動経験」,「性別(女性)」が,心理学部は「講習会への参加意思」が,ボランティア活動への従事意図に独立して有意に影響を与える因子であった。学生の所属する学部別にボランティア従事意思に影響を与える因子に特徴が認められた。上記を教育内容に反映することが,ボランティア従事意思を向上させるために有用と考えられた。 |
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ISSN: | 0016-2582 2436-7826 |
DOI: | 10.5387/fmedj.75.1_1 |