シティズンシップに関わる家庭科研究の特徴と課題

本研究は, 子ども・若者の生活基盤の不安定化という問題に取り組むシティズンシップ教育に関わる家庭科研究の特徴と課題を明らかにし, 家庭科においてその課題を解決するために必要な論理を示すことを目的とした. この目的に迫るために, シティズンシップに関わる家庭科研究の4つのキーワード (シティズンシップ, 消費者市民, 市民性, 生活主体) についての研究論文34編を分析資料とし, 課題設定と各キーワードの捉え方に関する記述内容を分析した. その結果, 課題については, 教育内容やその方法の提示を設定する研究が多く, そして, 各キーワードの捉え方に関しては, 空間軸を重視し, 個人の社会参画能力...

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Bibliographic Details
Published in日本家政学会誌 Vol. 70; no. 5; pp. 274 - 291
Main Author 土岐, 圭佑
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本家政学会 2019
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ISSN0913-5227
1882-0352
DOI10.11428/jhej.70.274

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Summary:本研究は, 子ども・若者の生活基盤の不安定化という問題に取り組むシティズンシップ教育に関わる家庭科研究の特徴と課題を明らかにし, 家庭科においてその課題を解決するために必要な論理を示すことを目的とした. この目的に迫るために, シティズンシップに関わる家庭科研究の4つのキーワード (シティズンシップ, 消費者市民, 市民性, 生活主体) についての研究論文34編を分析資料とし, 課題設定と各キーワードの捉え方に関する記述内容を分析した. その結果, 課題については, 教育内容やその方法の提示を設定する研究が多く, そして, 各キーワードの捉え方に関しては, 空間軸を重視し, 個人の社会参画能力を高めるという研究が多いことがわかった. しかし, 従来の研究は, 個人の社会参画能力を高める過程で, 協同性の視点が不十分であることが明らかとなった. そのため, 授業空間を個人と社会とをつなぐ中間領域と位置付け, 多様な人々との対話や協働を重視するという特徴がある「協同性の発展過程に基づきシティズンシップを育む家庭科実践の試論」を示した.
ISSN:0913-5227
1882-0352
DOI:10.11428/jhej.70.274