唾液腺分泌がんにラロトレクチニブを使用した1例

唾液腺分泌がんは2017年改定の新WHO分類に収載された唾液腺悪性腫瘍である。今回,胸膜転移による癌性胸水を伴う耳下腺分泌がんの症例を経験した。根治手術の適応はなかったが,生検検体からETV6-NTRK3融合遺伝子が検出され,トロポミオシン受容体キナーゼ阻害薬であるラロトレクチニブ投与を開始した。これに伴い,腫瘍の縮小,癌性胸水の減少,自覚症状の改善を認めた。投薬は継続され,病勢の悪化なく経過している。ラロトレクチニブは本邦では2021年3月に製造販売が承認され,国内における使用報告は本稿作成時点で1篇のみである。本症例では,投薬開始より速やかに奏効した貴重な使用報告になりうると考えられた。...

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Published in頭頸部外科 Vol. 33; no. 3; pp. 401 - 406
Main Authors 蝦原, 康宏, 井上, 準, 山崎, 知子, 中平, 光彦, 川崎, 朋範, 佐藤, 瞭, 松村, 聡子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2024
Subjects
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.33.401

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Summary:唾液腺分泌がんは2017年改定の新WHO分類に収載された唾液腺悪性腫瘍である。今回,胸膜転移による癌性胸水を伴う耳下腺分泌がんの症例を経験した。根治手術の適応はなかったが,生検検体からETV6-NTRK3融合遺伝子が検出され,トロポミオシン受容体キナーゼ阻害薬であるラロトレクチニブ投与を開始した。これに伴い,腫瘍の縮小,癌性胸水の減少,自覚症状の改善を認めた。投薬は継続され,病勢の悪化なく経過している。ラロトレクチニブは本邦では2021年3月に製造販売が承認され,国内における使用報告は本稿作成時点で1篇のみである。本症例では,投薬開始より速やかに奏効した貴重な使用報告になりうると考えられた。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.33.401