被膜間摘出術を行った数珠状迷走神経鞘腫例

数珠状に腫瘤形成し,全長18cmに達した迷走神経鞘腫を経験したので報告する。症例は31歳,男性。主訴は左頸部腫瘤。現病歴は4年前,左頸部に腫瘤を自覚し精査をしたところ,神経鞘腫が疑われ経過観察の方針となった。腫瘍は次第に増大し,頭側は第1〜2頸椎から尾側は上縦隔までの大きさになったため被膜間摘出術を行ったが,腫瘍同士の連続部位の剥離が難しく,術後に喉頭麻痺が発生した。 頭頸部領域での数珠状に発生した神経鞘腫は極めて稀で,摘出には全摘出術が容易ではあるが,本腫瘍が基本的に良性腫瘍である観点から,術後の神経機能温存を目指し被膜間摘出術を行うことも選択肢のひとつになるのではないかと考えられた。...

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Published in頭頸部外科 Vol. 32; no. 2; pp. 159 - 163
Main Authors 嶋根, 俊和, 平野, 康次郎, 江川, 峻哉, 北嶋, 達也, 丸山, 祐樹, 溝上, 雄大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2022
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.32.159

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Summary:数珠状に腫瘤形成し,全長18cmに達した迷走神経鞘腫を経験したので報告する。症例は31歳,男性。主訴は左頸部腫瘤。現病歴は4年前,左頸部に腫瘤を自覚し精査をしたところ,神経鞘腫が疑われ経過観察の方針となった。腫瘍は次第に増大し,頭側は第1〜2頸椎から尾側は上縦隔までの大きさになったため被膜間摘出術を行ったが,腫瘍同士の連続部位の剥離が難しく,術後に喉頭麻痺が発生した。 頭頸部領域での数珠状に発生した神経鞘腫は極めて稀で,摘出には全摘出術が容易ではあるが,本腫瘍が基本的に良性腫瘍である観点から,術後の神経機能温存を目指し被膜間摘出術を行うことも選択肢のひとつになるのではないかと考えられた。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.32.159