AIDSに合併したサイトメガロウイルス (CMV) 感染症の早期診断及び治療効果判定におけるCMV抗原検索の有用性

Acquired immunodeficiency syndrome (AIDS) 患者は高率にcytomegalovirus (CMV) 感染症を合併するが, 症状を認めなくても尿や気管支肺胞洗浄液 (BALF) 等からCMVが検出されることが報告されている.AIDSにおけるCMV感染症の診断及び治療効果の判定にはCMVの活動性を示す指標が求められている. 1993~1994年の間に, CMV感染症が確定診断された3名の血友病AIDSとCMV以外の感染症であることが判明した5名のhuman immunodeficiency virus (HIV) 感染者を対象として, CMVの検出を検討した...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 68; no. 9; pp. 1105 - 1112
Main Authors 佐藤, 敏美, 南嶋, 洋一, 花房, 秀次, 太田, 俊彦, 上杉, 妙子, 峰松, 俊夫, 野守, 裕明, 田中, 葉子, 森, 良一, 松田, 文子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.09.1994
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.68.1105

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Summary:Acquired immunodeficiency syndrome (AIDS) 患者は高率にcytomegalovirus (CMV) 感染症を合併するが, 症状を認めなくても尿や気管支肺胞洗浄液 (BALF) 等からCMVが検出されることが報告されている.AIDSにおけるCMV感染症の診断及び治療効果の判定にはCMVの活動性を示す指標が求められている. 1993~1994年の間に, CMV感染症が確定診断された3名の血友病AIDSとCMV以外の感染症であることが判明した5名のhuman immunodeficiency virus (HIV) 感染者を対象として, CMVの検出を検討した.CMVp65抗原を認識するモノクローナル抗体を用いて末梢血中のCMV抗原陽性多形核白血球及びBALF中のCMV抗原陽性細胞を検出し, シェルバイアル法, 血清抗体価, polymerase chain reaction (PCR), 組織所見, 臨床症状と比較検討した. CMV抗原検査は, CMV感染症発症群の急性期では3例全てが陽性となり, 治療効果の得られた2例では2例とも陰性化した.治療効果の得られなかった例では, CMV抗原陽性白血球の増加を認めた.CMV感染症非発症群では5例全てが陰性であった.感染性CMVの分離は, 急性期にはCMV感染症発症群2例中2例で陽性であった.血清抗体価は全例において有意な変動を認めなかった.AIDSにおけるCMV感染症の診断は, 臨床症状と併せて病変部の組織や検体中にCMVを証明することにより確定する.CMV抗原検査は, AIDSにおけるCMV感染症の早期診断と共に治療効果の判定に有用である.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.68.1105