腰椎固定術後に生じた脆弱性仙骨骨折にて膀胱直腸障害をきたした1例

【背景】腰椎固定術は脆弱性仙骨骨折のリスク因子と言われているが,腰椎固定術後に生じた仙骨骨折にて膀胱直腸障害が出現し,観血的治療を要した症例を経験したので報告する.【症例】69歳女性.腰部脊柱管狭窄症に対しL3/4, 4/5椎体間固定術を受けた約3か月後より両臀部のこわばりが出現.その後,仙骨部,陰部の激痛および失禁を認め当科紹介受診.当科初診時,下肢麻痺は認めず歩行も可能であったが,肛門括約筋は弛緩し,肛門周囲の触覚,痛覚は脱失していた.画像上,S2椎体中央レベルにて骨折による馬尾の強い圧迫を認め,膀胱直腸障害の原因と判断し,骨折部にて狭窄している脊柱管の除圧と経腸骨経仙骨スクリューによる骨...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 74; no. 2; pp. 330 - 333
Main Authors 川口, 謙一, 籾井, 健太, 中島, 康晴, 幸, 博和, 小早川, 和, 縄田, 知也, 伊田, 修陸, 岸川, 準, 飯田, 圭一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2025
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.74.330

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Summary:【背景】腰椎固定術は脆弱性仙骨骨折のリスク因子と言われているが,腰椎固定術後に生じた仙骨骨折にて膀胱直腸障害が出現し,観血的治療を要した症例を経験したので報告する.【症例】69歳女性.腰部脊柱管狭窄症に対しL3/4, 4/5椎体間固定術を受けた約3か月後より両臀部のこわばりが出現.その後,仙骨部,陰部の激痛および失禁を認め当科紹介受診.当科初診時,下肢麻痺は認めず歩行も可能であったが,肛門括約筋は弛緩し,肛門周囲の触覚,痛覚は脱失していた.画像上,S2椎体中央レベルにて骨折による馬尾の強い圧迫を認め,膀胱直腸障害の原因と判断し,骨折部にて狭窄している脊柱管の除圧と経腸骨経仙骨スクリューによる骨折部の固定を行った.術後より膀胱直腸機能は回復し,失禁は消失した.【考察】腰椎固定術後に生じる脆弱性仙骨骨折は骨折部の転位により神経障害をきたす可能性があり,腰椎固定術後の合併症として常に念頭に置いておく必要がある.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.74.330