橈骨遠位端骨折に対する長母指伸筋腱断裂の検討 保存的治療症例について

橈骨遠位端骨折後の長母指伸筋腱断裂の頻度はガイドラインでは0.8~4.9%と報告されており,受傷後数週間以内に生じることが多いとされ,見逃されてはならない合併症の一つである.今回われわれは2012年4月~2016年12月までに橈骨遠位端骨折に対して保存的加療を施行した115例(60歳以上の男性23例,女性92例,平均83.7歳)のうち,長母指伸筋腱断裂をきたした4例を検討した.全例女性で,平均年齢は69.5歳であった.3例は転位の少ない骨折で,骨折受傷から断裂までの期間は平均23.5日であり.従来の報告と同様の結果であった.断裂の発生要因としては,背側皮質のsharp edge等による機械的要...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 67; no. 3; pp. 475 - 478
Main Authors 東郷, 泰久, 松山, 金寛, 小宮, 節郎, 高橋, 建吾, 小倉, 雅, 堀之内, 駿, 海江田, 光祥, 田邊, 史, 佐々木, 裕美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2018
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.67.475

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Summary:橈骨遠位端骨折後の長母指伸筋腱断裂の頻度はガイドラインでは0.8~4.9%と報告されており,受傷後数週間以内に生じることが多いとされ,見逃されてはならない合併症の一つである.今回われわれは2012年4月~2016年12月までに橈骨遠位端骨折に対して保存的加療を施行した115例(60歳以上の男性23例,女性92例,平均83.7歳)のうち,長母指伸筋腱断裂をきたした4例を検討した.全例女性で,平均年齢は69.5歳であった.3例は転位の少ない骨折で,骨折受傷から断裂までの期間は平均23.5日であり.従来の報告と同様の結果であった.断裂の発生要因としては,背側皮質のsharp edge等による機械的要因が考えられた.長母指伸筋腱断裂は比較的まれな合併症ではあるが,早期社会復帰,ADLに影響を及ぼす合併症であると考えられ,橈骨遠位端骨折を発症した場合は,合併症についての十分なインフォームドコンセントが必要である.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.67.475