鋳型状粘液栓を呈した肺多形癌の一例

【背景】肺多形癌は全肺癌の1%未満に認められる稀な腫瘍である。【症例】症例は68歳女性。左肺上葉に腫瘤影が認められ,肺癌が疑われ複数回にわたって気管支鏡による生検が行われたが診断に至らなかった。その後左上葉無気肺と呼吸不全を呈し,気管支鏡により鋳型状の粘液栓が左上区より吸引され,細胞診によって粘液内に孤在性に浮遊する腺癌細胞が検出された。気道閉塞を繰り返すため救命を目的に左肺全摘術が行われ,肺多型癌と診断された。EGFR遺伝子変異並びにALK融合遺伝子変異は陰性であった。【結論】多量の粘液産生を伴う肺癌では気管支鏡等による小検体による診断がしばしば困難であり,外科的切除を要することがある。...

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Published inToyama Medical Journal Vol. 35; no. 1; pp. 47 - 50
Main Authors 土谷, 智史, 本間, 崇浩, 土岐, 善紀, 野口, 映, 平林, 健一, 猪又, 峰彦, 今西, 信悟, 徳井, 宏太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 富山大学医学会 2025
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ISSN2189-2466
2758-6014
DOI10.57561/tmjutmed.35.1_47

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Summary:【背景】肺多形癌は全肺癌の1%未満に認められる稀な腫瘍である。【症例】症例は68歳女性。左肺上葉に腫瘤影が認められ,肺癌が疑われ複数回にわたって気管支鏡による生検が行われたが診断に至らなかった。その後左上葉無気肺と呼吸不全を呈し,気管支鏡により鋳型状の粘液栓が左上区より吸引され,細胞診によって粘液内に孤在性に浮遊する腺癌細胞が検出された。気道閉塞を繰り返すため救命を目的に左肺全摘術が行われ,肺多型癌と診断された。EGFR遺伝子変異並びにALK融合遺伝子変異は陰性であった。【結論】多量の粘液産生を伴う肺癌では気管支鏡等による小検体による診断がしばしば困難であり,外科的切除を要することがある。
ISSN:2189-2466
2758-6014
DOI:10.57561/tmjutmed.35.1_47